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「事前計画全くなかった」板門店会合の裏話

登録:2019-07-02 05:50 修正:2019-07-02 07:37
リフォームされた「自由の家」で会った朝米首脳 
昨年2回にわたる板門店南北首脳会談の経験生かされた 
 
米国、基本的立場はあるが、実際の交渉では“柔軟なアプローチ“をする見込み 
米国、統一戦線部→外務省の北朝鮮交渉ラインの変更を歓迎 
2019年6月30日、板門店で南北米の首脳が一堂に会した/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領がツイッターに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に会いたいという書き込みを残してから約32時間後の6月30日、板門店(パンムンジョム)で朝米首脳が52分間にわたって面会したのに続き、南北米首脳の“歴史的会合”が実現できたことには、警護や儀典をめぐる朝米実務陣の“深夜協議”と、昨年に板門店で開かれた2回の南北首脳会談の経験が重要な役割を果たしたことが分かった。議題に関しては、米国が強調した「柔軟な解決策」が主なカギとなった。

 朝米会談など、現在急速に戻っている朝鮮半島情勢に詳しい政府高官は1日、統一外交安保分野の専門家らとの懇談会で、前日に行われた朝米、そして南北米首脳の会合について、「事前計画は全くなかった」と述べたと、ある外交消息筋が伝えた。同消息筋は「29日夜8時30分に、板門店で米国の核交渉担当者のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表とアリソン・フッカー補佐官が、(北側関係者と)朝米の懸案に関することではなく、儀典と警護だけを議題に夜遅く協議を行った」と説明した。

 外交消息筋は「昨年開かれた4・27、5・26の南北首脳会談を機に、自由の家がリフォームされた状態であり、当時会談の開催経験のおかげで、米国の厳しい大統領儀典にもかかわらず、短時間で会合の準備を整えることができた」と述べた。昨年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金委員長は、板門店の南側地域で4・27南北首脳会談を行った後、6・12朝米シンガポール首脳会談の日程が一時的に取り消されたことを受け、電撃的に“ワンポイント”(単一議題の)首脳会談を板門店北側地域で開いた経験がある。今回、トランプ大統領と金委員長は、南北首脳が会った平和の家の代わりに、首脳会談の場所としては一般的によく使われない自由の家で、1時間近く会談を行った。

 内容の面では、米国が今年2月末にベトナムのハノイで開かれた第2回朝米首脳会談で示した“ゼロか100か”(ALL OR NOTHING)式の強硬姿勢からやや脱却し、真摯かつ柔軟なアプローチを強調したことが重要な要因となったと言える。外交消息筋は「柔軟な対応という言葉が急に出てきたわけではない」とし、「米国の基本的な立場には変わりがないものの、実際の交渉に入ると、一定の柔軟性を示す可能性もある。柔軟なアプローチという言葉はそうした模索を反映した言葉だ」と説明した。

 朝米首脳会談の電撃的な会談後、米政府は北朝鮮の朝米交渉担当者が従来の金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長を軸にしたいわゆる「統一戦線部ライン」から、リ・ヨンホ外相を中心とする「外務省ライン」に変わったことに対し、内部的に歓迎する雰囲気だという。米国政府は、北朝鮮核交渉の議題を論議するにあたって、統一戦線部よりも外務省が専門性を持っていると判断しているということだ。外交消息筋は「米国がかなり期待している。速やかに会談が進むのではないかというのが米国側の立場」だと述べた。また、同消息筋は「朝米いずれも今回の機会が切実であるという共通した認識を持っている。この時間を無駄にしてはならないという判断のもと、緊張感を持って交渉する可能性が高いと見られる」と付け加えた。

 一方、韓国政府は当分の間、朝米関係および交渉を優先し、「南北関係は一歩または半歩下がって進める」という態度を決めたものとみられる。韓国政府がとりあえず朝米交渉の成功に向けて積極的に支援するものの、水面下で“静かな仲裁”を行うということだ。 30日に文大統領が、板門店で軍事境界線を越えて南にきた金委員長を出迎えたにもかかわらず、朝米首脳の個別会談ができるよう席を外したことからも、このような態度がうかがえる。外交消息筋は「文大統領は朝米関係に進展が必要であるという優先的目標を持っている」とし、「南北関係が進まないことに過度の圧力を感じるよりは、朝米関係が先に進展してから南北関係が良くなる状況が望ましいと見て、朝米の実務交渉が進んでいるからと言ってそれに合わせて(南北関係を)無理に進めようと圧迫しないということだ」と説明した。

ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/900031.html韓国語原文入力:2019-07-01 21:19
訳H.J

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