5・18光州民主化運動を「北朝鮮の特殊部隊が起こした暴動」と主張してきたチ・マンウォン氏(78)が、5・18記念財団など5月団体と5・18当事者などに億単位の損害賠償金を支給した。5・18を歪曲した人物が裁判所の判決で賠償金を支払うことになったのは、今回が初めてだ。
5・18記念財団は、チ氏が今月22日に損害賠償判決金額と利子を含め、計1億800万ウォン(約1千万円)を財団や5・18 3団体、財団法人天主教会維持財団、パク・ナムソン、シム・ボクレ氏など個人9人に支給したと、30日に明らかにした。
チ氏は昨年12月に確定判決を受けてからも、損害賠償を先送りしてきたが、最近5・18記念財団側がチ氏の銀行口座と事務所の家財などに対する差し押さえ措置を取ったこと受け、賠償金を支払ったという。チャ・ジョンス5・18記念財団研究員は「チ氏が主張してきた北朝鮮軍投入説が何の根拠もない虚構ということが明らかになったにもかかわらず、依然としてこのような主張を展開する人たちがいる」とし、「今回の賠償金の支給は、5・18歪曲勢力に対する重い警告であり、警鐘を鳴らす契機になるだろう」と語った。
チ氏は2016年3月15日、自分が運営していたインターネット・メディア「ニュースタウン」の号外1・2・3号を通じて、5・18民主化運動が北朝鮮軍特殊部隊の背後操縦により、光州(クァンジュ)市民たちと北朝鮮が内通して起きた国家反乱暴動だと主張した。これに対し、5・18団体などはチ氏に対し、名誉毀損による損害賠償請求訴訟を提起し、裁判所は2017年8月、「チ氏と『ニュースタウン』は原告に合計8200万ウォン(約760万円)の慰謝料を支給せよ」と命じた。チ氏などは控訴したが、最高裁は昨年12月にこの判決を確定した。チ氏は、裁判所判決が出た後も損害賠償金を支払わず、利子2600万ウォン(約240万円)を追加で支払うことになった。今回の損害賠償請求訴訟に参加したカトリック光州大教区の神父とキム・ヤンレ元5・18記念財団常任理事などは、損害賠償の金額を5・18歪曲への対応などに使うべきだということで意見が一致したという。
一方、チ氏が5・18当時抗争に参加した市民を北朝鮮特殊軍として出版した5・18映像告発写真集をめぐる損害賠償訴訟は、光州高裁で行われており、31日午後2時に宣告公判が開かれる。