政府が17日、開城(ケソン)工業団地入居企業家の資産点検のための訪朝を電撃承認した。政府が2016年2月に一方的に開城工業団地を閉鎖した後、3年3カ月ぶりに企業家が直接工業団地を訪問して、工場施設などを点検できることになった。政府はこの日、世界食糧計画(WFP)とユニセフによる北朝鮮の子どもと妊産婦支援事業に800万ドルの供与も推進することを決めた。
政府はこの日午後、チョン・ウィヨン国家安保室長が主宰した国家安保会議(NSC)常任委員会議を開催し、「政府は開城工業団地に投資した企業家たちが4月30日に申し込んだ資産点検のための訪朝を“国民の財産権保護”次元で“承認”することにし、企業らの訪朝が早期に実現するよう支援していくことにした」と明らかにした。開城工業団地の入居企業家が先月30日に要請した通り、企業家193人が訪朝の途につくと見られる。
政府の今回の決定は、6月末のドナルド・トランプ米大統領の訪韓を控え、南北対話の膠着に突破口を開き、朝米交渉再開につながるモメンタムの用意を念頭に置いたと解釈される。開城工団入居企業家らは2016年2月の工団の全面中断後、朴槿恵(パク・クネ)政府で3回、文在寅(ムン・ジェイン)政府で6回、資産点検のための訪朝を申請したが、政府は米国の反対などを考慮し承認を延期し続けてきた。政府はこれまで米国との協議を通じても、開城工団の企業家らの訪朝目的が「資産点検」であり、財産権保護のためこれ以上先送りできないという点を説明してきたという。政府は企業家らの訪朝が対北朝鮮制裁に抵触しないという点、米国の“承認”"が必要な事案ではないという点などを考慮すると、これ以上企業家の訪朝を許可しない名分はないと判断したものとみられる。
国家安保会議の常任委員は、この日世界食糧計画の北朝鮮食糧調査結果に対しても議論し、まず世界食糧計画とユニセフの要請により北朝鮮の児童、妊産婦の栄養、医療支援事業のために800万ドルの供与を推進することにした。政府の支援の意志と北朝鮮の深刻な食糧難などを考慮すれば、今後さらなる食糧支援が続くという観測が出ている。政府は「対北朝鮮食糧支援問題は、国民の意見を十分に取りまとめ、国際機関を通した支援、または対北朝鮮直接支援など具体的な支援計画を検討していくことにした」と明らかにした。