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[ニュース分析]北朝鮮、開城共同事務所業務に復帰…「共同宣言の志向に変わりない」

登録:2019-03-26 02:07 修正:2019-03-26 11:06

撤収から3日後に「普段通り勤務」 
 
北側、撤収などなかったかのように 
「普段通り、交代勤務のために来た」  
入出境に支障なく…異例の“弱いレベル”  
 
3日で復帰した理由とは 
「トランプ大統領の制裁撤回ツイートの影響」との分析も 
ソ・フン-金英哲の非公式窓口を稼動した可能性も  
 
専門家の分析と展望  
チョン元統一部長官「文大統領に仲裁役を期待」  
冷却期設ける余地生まれるも、相変わらず難しい局面

南北共同連絡事務所の職員たちが今月5日午前、京畿道坡州南北出入事務所を通じて開城に向かっている=坡州/写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が25日朝、開城(ケソン)の南北共同連絡事務所(共同事務所)業務に復帰した。22日に「上部の指示」を理由に、共同事務所の北側の人員を全員撤収させてから3日後のことだ。

 統一部当局者は同日午後、「今日(25日)朝8時10分、北側連絡事務所の一部職員が共同連絡事務所に出勤して勤務している」と明らかにした。業務に復帰した北側の人員はひとまず連絡代表を含めた実務者級の4~5人で、普段の勤務者10人前後の半数程度だ。

 北側は同日午前9時30分に行われた南北連絡代表協議で、「今日、普段どおり交代勤務のために来た」と述べたと、同当局者は伝えた。さらに、北側は「共同連絡事務所が南北共同宣言の志向に合わせ、事業をうまく進めていくべきという考えには変わりがない」と発言したと、同当局者は付け加えた。

 北側の共同事務所人員の早期復帰措置は予想外のことだった。しかも「普段通り、交代勤務のために来た」という復帰の弁は注目に値する。「上部の指示」を理由に22日に共同事務所の北側人員が一方的に撤収した事実そのものが、まるでなかったかのような言い方だったからだ。

 開城に共同事務所を設置・運営するのは、4・27板門店宣言の主な合意事項だ。このため、北朝鮮側の共同事務所人員の撤収措置は、その潜在的波紋が南北関係全般に広がる危険性が高かった。実際、多くの専門家たちは、北朝鮮による共同事務所の人員撤収措置を「4・27板門店宣言の履行の暫定的な留保」または「文在寅(ムン・ジェイン)大統領の朝米間の仲裁・促進者の役割に対する期待の放棄」だと分析した。北朝鮮側が同日午前、南北連絡代表協議の過程で「南北共同宣言の志向に合わせ、事業をうまく進めていくべきという考えには変わりがない」と強調した事実は、そのため重要だ。北側が国連と米国の制裁を理由に、南北経済協力事業に消極的な南側に不満を示したが、結果的に南北対話基調から“軌道離脱”する意図がないことを明確にしたからだ。ク・ガブ北韓大学院大学教授は「南側との関係を壊さないというのが重要」だとし、「実際、南北関係を壊したら、北側も打つ手がなくなる」と指摘した。

 共同事務所の人員を撤収した後の北朝鮮側の態度は、その真意を計るのが難しいほど異例だった。事案の重大さに比べ、北側の行動が前例になく“弱いレベル”だったからだ。 南北対話史で前例のない珍しい事態の展開だ。例えば、北側の人員撤収から復帰までの3日間、終末を除けば、共同事務所業務の実際の空白は金曜日の22日午後の4~5時間程度だ。さらに北朝鮮側は人員撤収後も、開城工業団地業務を担当する中央特区開発指導総局の人員を南側の人員との疎通の窓口に指定した。総局関連者が共同事務所の南側職員の22日午後の入境(軍事境界線を越えて帰京)と25日出境(軍事境界線を越えて訪朝)に必要な行政手続きを助けた。

 北は共同事務所業務をなぜ中止し、またなぜサボタージュから3日後に復帰したのだろうか。北側は22日の撤収の理由を説明しなかったが、25日にも復帰の理由を明らかにしなかった。統一部当局者は「撤収及び復帰の理由について北側が南側に明確に言及した内容はなく、今後確認する予定だ」と述べた。

 政府は北側の突然すぎる撤収と復帰に対する言及を避けた。確認されていないが、週末にソ・フン国家情報院長と金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長間の非公開窓口が稼動された可能性も排除できない。

 外交安保分野の高官は「トランプ大統領のツイートが北側の態度の変化に影響を及ぼしたようだ」と述べた。チョン・セヒョン元統一部長官は「トランプ大統領の(ツイッターによる)対北朝鮮メッセージが、北朝鮮に“新たな道”に進まないようにさせたと見ている」と述べた。チョン元長官は「北側としては南北関係を再び正常に原状回復、すなわち(共同事務所人員の)撤収以前に戻さなければならないと考えたようだ」とし、「そのようにして(文大統領に)仲裁者あるいは促進者の役割を頼んだのではないかと思う」と付け加えた。ドナルド・トランプ米大統領が22日(現地時間)、ツイッターで「追加制裁の撤回指示」を公開し、ハノイで開かれた第2回朝米首脳会談以降、急速に悪化した朝鮮半島情勢を鎮静化すると共に、“交渉意志”を強調したのが、北側の態度の変化を引き出したという分析だ。

 問題はこれからだ。開城工業団地の法務チーム長を10年間務めたキム・グァンギル弁護士(法務法人地平)は「互いに刺激せず、冷却期を設ける余地が生まれた」としながらも、「北側が、開城共同事務所から撤収しようとした趣旨は依然として残っている」と指摘した。外交安保分野の高官は「今後、私たち(韓国)がどうするかによって、状況が変わる可能性もある」としながらも、「依然として難しい局面」だと述べた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/887353.html韓国語原文入力:2019-03-25 21:16
訳H.J

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