全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の夫人イ・スンジャ氏が「夫は民主主義の父」と発言し、自由韓国党を除く与野4党が「妄言」だと糾弾した。イ氏がこうした発言を行ったことで、1980年の光州(クァンジュ)民主化運動当時、「全斗煥軍部」の流血鎮圧の真相を明らかにする「5・18民主化運動真相究明調査委員会」の早期発足に対する要求も高まっている。
2日、自由韓国党を除き、共に民主党、正しい未来党、民主平和党、正義党の与野4党は一斉に論評を出し、イ氏の発言を批判した。民主党のイ・ジェジョン代弁人は「全元大統領は国民を銃で脅し、軍靴で踏みにじった軍事独裁政権の継承者」だとし、イ氏に対し「国民が血と汗、涙で成し遂げた『民主主義』という4文字まで翻弄してはならない」と述べた。
イ氏は今月1日、インターネット保守メディア「ニュースタウンTV」とのインタビューで「(全元大統領が)初めて単任制を成し遂げたから、今の大統領たちは5年の任期がたてばそれ以上続けようという考えを持てないではないか」とし、「民主主義の父は誰か。私はうちの夫だと思う」という詭弁を述べた。回顧録を通じて5・18民主化運動犠牲者の名誉を傷つけた容疑で起訴された全元大統領は、光州で進行中の裁判をソウル中央地裁で受けさせてほしいという管轄移転申請を出したが棄却され、7日に光州地裁で裁判が予定されている。イ氏は、夫が認知症を患っており、裁判が難しいという主張もしている。
1980年の「金大中(キム・デジュン)内乱陰謀事件」で拷問を受けたことのあるソル・フン民主党議員はこの日、全元大統領を許した過去の自分について言及し涙ぐんだ。民主党最高委会議でソル議員は「歴史の断罪を受けても許されない者が、身のほど知らずに民主主義をどうこう言い、正気を失ったともいえる発言をしたことに、光州抗争の怨霊に代わって怒りを禁じえない」とし、「私が拷問を受け、監獄で数えきれない絶叫の日々を送りながらも全斗煥を許すことにしたが、今思えば過ちだった」と述べた。ソル議員は電話で「全斗煥を呪い殺さなければと思うと自ら悪魔になる感じがつらくて彼を許したが、過ちだった」とし、「許しは相手が過ちを認めたときに可能だ」と強調した。
イ氏の発言をきっかけに与野4党は5・18真相究明調査委の推薦を引き延ばしている自由韓国党の立場表明を重ねて求めた。平和党のキム・ジョンヒョン代弁人は、「5・18特別法が通過したが、韓国党の非協力で真相究明調査委員会が発足できずにいる。真相究明作業が一層切実になった」とし、「韓国党は立場を表明せよ」と強調した。真相究明調査委の構成を骨子とする「5・18民主化運動真相究明特別法」が昨年2月に国会を通過し、9月14日から施行されたが、韓国党から推薦することになっている調査委員の名簿を数カ月も提出しておらず、調査委の発足が遅れている。