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『全斗煥回顧録』が出版・配布禁止に

登録:2018-09-14 06:52 修正:2018-09-14 10:36
13日、光州地裁「5.18被害者の名誉毀損認める」 
「回顧録の『北朝鮮軍介入説』など69個所が虚偽」  
全氏と息子に7千万ウォンの損害賠償も命令 
5月団体「特別法の施行控え真相究明の土台になるだろう」
回顧録を出刊した全斗煥氏=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 軍事政権の独裁者、全斗煥(チョン・ドゥファン)氏(87)の『全斗煥回顧録第1巻:混沌の時代』が結局、出版・配布を禁止された。裁判所は、全斗煥氏と同書の出版社代表の息子、チョン・ジェグク氏に、同書によって名誉を毀損された5.18民主化運動の被害者たちに7千万ウォン(約700万円)を賠償することを命じた。また、裁判所は同書で取り上げた内容のうち、69カ所が虚偽だと明らかにした。

 光州(クァンジュ)地裁民事14部(裁判長シン・シンホ)は同日、4つの5・18団体とチョ・ビオ神父の甥、チョ・ヨンデ神父らが、チョン氏と『全斗煥回顧録』を出版した全氏の息子ジェグク氏を相手に提起した出版・配布禁止請求を認めた。今回の判決は、昨年8月と今年の5月の『全斗煥回顧録』に対する出版と配布禁止仮処分決定以降、裁判部が仮処分の申請2件を併合して開いた本案裁判で下したもので、注目を集めている。全氏らは問題となった内容を削除しない限り、これから同回顧録を出版・印刷・発行・配布できない。

 裁判所は「歴史についてそれぞれが異なる見解を明らかにすることはできるが、客観的な資料でこれを証明しなければならない」としたうえで、「全元大統領は、戒厳軍の当事者たちの弁解的な主張や一部勢力の根拠のない主張だけに基づき、事実と異なる記述をし、5月関係者たちの名誉を毀損した」と述べた。

『全斗煥回顧録』第1巻//ハンギョレ新聞社

 裁判所は回顧録初版の中で問題になった表現と内容69カ所を削除しなければ、出版・印刷・発行・配布できないと判示した。裁判所は5・18団体などが2017年6月、回顧録の出版・配布禁止第1次仮処分申請当時に提起した、北朝鮮軍の介入説▽へリコプター射撃関連の歪曲など33カ所の内容のうち、32カ所が虚偽だと認めた。また、これらの団体が再出刊された回顧録について、同年12月に第2次仮処分申請を行う際に指摘した5・18犠牲者を埋め捨てたことの否定▽光州刑務所襲撃事実の歪曲▽初めて武器を(市民軍に)奪われた時間の操作▽自衛権発動の捏造など、回顧録に書かれた37カ所の内容についても、全て虚偽事実だと判断した。

 5・18団体などが出版・配布禁止とともに、“象徴的に”起こした損害賠償訴訟でも、原告一部勝訴判決が出た。裁判所は「全氏らは原告のうち、5・18団体に各1500万ウォン(約150万円)ずつ、チョ神父に1000万ウォン(約100万円)など、計7000万ウォンの賠償」を命じた。5・18団体側の法律代理人キム・ジョンホ弁護士は「9月14日、5・18真相究明特別法(5・18民主化運動の真相究明に向けた特別法案)の施行を控えて、裁判所が全斗煥回顧録第1巻の5・18の歪曲・虚偽内容が何かを明確に指摘したのは、今後、5・18真相究明の過程で重要な土台になるだろう」と話した。全氏側の法律代理人は「(回顧録に)本人の考えや意見を表現しただけ」だとし、名誉毀損の意図がないと主張した。

 一方、全氏は、今回の民事裁判とは別途に、10月1日、刑事裁判を控えている。全氏は回顧録で戒厳軍のヘリコプター射撃を目撃したと証言した故チョ・ビオ神父を「到底聖職者とは言えない破廉恥な嘘つき」だと表現し、チョ神父の名誉を毀損した疑いで在宅起訴された。全氏は今年8月27日、これと関連した初の刑事裁判に健康上の理由で欠席した。

チョン・デハ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/area/861995.html韓国語原文入力:2018-09-13 21:07
訳H.J

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