5・18光州(クァンジュ)民主化運動のときに戒厳軍・捜査官から性的暴行を受けた被害者が少なくとも17人いることが確認された。当時、光州に投入された軍人がデモとは関係のない主婦や10代の女子高校生、20代の会社員などを集団で性的暴行したという疑惑(ハンギョレ5月8日、10日付1面)も事実であることが分かった。衝撃的な事実は、数人の軍人が女性1人を集団で性的暴行した事例が2件以上確認されたという点だ。戦争時に主に現われる軍人の性暴力犯罪が光州で行なわれていたのだ。
30日、女性家族部・国家人権委員会・国防部が参加した「5・18戒厳軍などによる性的暴力共同調査団」(以下、共同調査団)の言葉を総合すると、5・18当時、戒厳軍・捜査官らが犯した性的暴行犯罪はこれまで把握されただけでも17件にのぼる。このうち共同調査団に申告された後、相談過程で把握された事例が8件あり、5・18当時の口述資料や有功者補償審議書類、各種文献などを通じて把握された事例が9件だ。相談と口述調査により把握された8件のうち、3件はハンギョレの報道などを通じて知られた事例だが、5件は新たに報告された被害事例だ。女性の性暴力被害は、光州に空輸部隊が増派された時期と重なる5月19~21日に集中的に発生した。
5・18の性暴力被害者の中には、80年当時30代の主婦(5月20日)だけでなく、17歳の女子高校生(5月23日)、女子大生、20歳の市内バス女性労働者(5月20日)などが含まれている。特に今回の共同調査では、軍人2人以上が女性1人に対して交互に性的暴行を加えた事例が多数確認され、衝撃を与えている。一部の被害者たちは、性暴力犯罪をされた後にショックを受け、今も精神病院で闘病している。
今回新たに確認された性暴力被害者4人は、5・18民主化運動の補償申請期間中、光州市などに被害事実を申告したにもかかわらず、「証拠がない」という理由で被害補償さえ受けることができなかったことが分かった。また、営倉(尚武大学)などで行なわれたわいせつ犯罪、性的虐待行為(性拷問)なども45件にのぼることが分かった。
しかし今回の共同調査団による真相究明の過程では、5・18で性暴力犯罪を犯した加害者を見つけることができなかった。共同調査団は、性暴力犯罪の生存女性から加害者の名前や人相、部隊表示などの供述を聞いたが、確認できなかった。共同調査団側は「加害者の推定までは可能だが、調査権がないため立証できなかった」と説明した。
共同調査団は、被害者が再び心に傷を負わないよう、トラウマ治療の専門家らと共に当時の状況について証言を受けた。調査団は5・18補償申請を行った女性603人の書類を一つ一つ確認した後、逆追跡する方式で性的暴行・わいせつ犯罪などの被害事例を把握したという。共同調査団は「女性の生存者が性犯罪の被害を恥と考える社会の雰囲気のため申告するのをはばかった。被害者たちが国家暴力の生存者として礼遇される社会的雰囲気を作ることと、加害者の良心による告白、謝罪を引き出すことも重要な課題だ」と述べた。
6月から5カ月間真相究明活動を行った共同調査団は、31日午前7時に記者会見を開き、調査結果を発表する。共同調査団は「5・18民主化運動真相究明のための特別法」施行(9月14日)を受けて発足する「5・18民主化運動真相究明調査委員会」に今回の調査結果を渡し、総合的な真相究明が行われるようにする計画だ。しかし、真相究明調査委は委員9人のうち自由韓国党が委員(3人)の推薦を見合わせ、40日以上経っても発足すらできずにいる状況だ。5・18での女性に対する性的暴行犯罪が明るみに出た後、チェ・ギョンファン民主平和党議員らが5・18特別法の真相究明範囲に5・18性暴力事件を明示した改正案を発議したが、国会国防委員会に縛られているのが実情だ。
一方、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今年5月18日、政府共同調査団を設置し、5・18民主化運動で軍が犯した性暴力犯罪の真相を究明すると明らかにしている。これに先立ち、ハンギョレは「5・18、その日の真実」企画特集シリーズを通じて、5・18民主化運動当時、戒厳軍などが女性に対して性暴力犯罪を犯した事実を4回にわたって連続報道した。