文在寅(ムン・ジェイン)大統領が18日、5・18光州(クァンジュ)民主化運動当時の軍よる性犯罪を、政府が直接究明すると約束したのは、加害者に対する徹底した責任追及はもちろん、不当な国家権力が破壊した国民個人の傷を癒す意志を明らかにしたものと言える。
文大統領は同日、5・18光州民主化運動38周年を迎えて発表したメッセージで、「私たちが本当に恥ずべきなのは、光州が経験した傷の深さを38年が過ぎた今でも全部分っておらず、癒すこともできなかったという事実」だとしたうえで、「歴史と真実の完全な復元に向けた私たちの決意が、さらに切に求められる」と述べた。
文大統領が言及した5・18当時の性犯罪は最近、ハンギョレの連続の報道で38年ぶりに初めて公論化された事案だ。ハンギョレは今月8日から5・18光州民主化運動当時、戒厳軍または保安司の捜査官たちが女性たちに対し、性的暴行とセクハラを行った事実を4回にわたって連続報道した。当時、全南大学学生として学生の収拾対策委員を務めていたキム・ソンオクさんは、戒厳司令部合同捜査本部の捜査官に連行され、65日間にわたる拷問の末、釈放前日に性的暴行を受けたと、ハンギョレに証言した。以後、キムさんの母親は肝臓がんで亡くなり、父も教職から追い出されるなど、生活が崩壊したという。女子高校1年生だったOさんは、自宅に帰る道で会った空輸部隊員たちに集団性的暴行を受けた後、精神的衝撃により尼僧になったと家族たちが伝えた。文大統領が「(5・18当時)その日の午後に帰宅途中の女子高生が軍用車両に強制的に乗せられた」と言及した事案でもある。
しかし、これらの被害事実はありのまま記録されなかった。光州市の5・18民主化運動補償集計によると、女性が5・18有功者と認められた場合は全体5767人のうち300人で、5.2%に過ぎない。それさえも、戒厳軍による性暴力行為は社会的偏見のため、噂で流れていただけだ。文大統領は「光州という名前で通称された一人ひとりの人生を尊重するのが、国家の存在理由」だとして、彼らの無念を国が晴らすという意思を示した。
さらに、文大統領は、光州民主化運動当時に行われた非人道的犯罪行為と人権蹂躙の責任を明確にする意向も強調した。 大統領府関係者は「文大統領の発言には被害者に対する補償と共に、明確な真相究明、責任者処罰などが総合的に含まれている」とし、「これに向けて、共同調査団に加害者であるかも知れない国防部の他に、国家人権委員会と女性家族部も加えた」と説明した。
共同調査団に含まれた政府省庁は、調査団の構成に着手した。国防部関係者は「(関連)マスコミ報道以降、国防部が同問題を主導的に調査することにし、人権委と協議を始めた」とし、「現在は共同調査団の人的構成をどうするか、関連機関と話し合っている」と話した。国家人権委員会は「現在、国防部や女性家族部、人権委3者が協議している過程」とし、「今後、共同調査団に対する具体的な計画が決まり次第、それに沿って人権委も活動を始める」方針を示した。女性部は「国防部、人権委などと協議し、5・18光州民主化運動当時に発生した性暴行事件の真相を明らかにして、被害者の観点から支援と治癒に最善を尽くす」と明らかにした。