ロシアが来月、シベリアや極東地域で冷戦解体以降としては最大規模の軍事演習を行う。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防長官は28日に声明を出し、9月11~15日、シベリアや極東で実施する軍事演習「ボストーク2018」に「約30万人の兵力、戦車と装甲車をはじめとする3万6000両の戦闘用車両、1000機以上の航空機、ロシアが保有するすべての空輸部隊、太平洋艦隊と北海艦隊が参加する」と明らかにした。ショイグ長官は続けて「ある意味で今回の演習は(旧ソ連時代、ロシア西部地域である東欧で行った演習の)ザパド81を再演するものだ。しかし、規模はさらに大きいだろう」と述べた。ロシア語でボストークは東、ザパドは西を意味する。今回の演習は、中国人民解放軍3200人とモンゴル軍も参加する3カ国合同演習で行われる。
ロシアが前例を見ない大規模な軍事演習を行う理由について、英国のBBCは2014年3月のウクライナ事態後から続く「西欧の制裁に対し、ウラジーミル・プーチン大統領とその軍隊の強靭さを見せつけるもの」だとし、「西欧はロシアを敵対的で好戦的だと思ってきたが、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)の浸食(北大西洋条約機構加盟国の東欧拡大)を脅威と考えてきた」と指摘した。さらに、プーチン大統領は早まった年金改革などで支持率が急落した状態だ。ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「ロシアに対する攻勢的で非友好的な態度が続いている状況でこのような演習は正当化される」と明らかにした。
ウクライナをめぐりロシアと対抗している北大西洋条約機構は敏感に反応した。ディラン・ホワイトNATO報道官は「NATOは5月にこの演習について(ロシアから)ブリーフィングを受けており、参観する」と述べ、「すべての国家には軍事演習をする権利があるが、これは透明で予測可能な方式で行われなければならない」と明らかにした。
気がかりであるのは日本も同様だ。折悪しくこの訓練は9月11~13日にウラジオストクで開かれる「東方経済フォーラム」と同じ時期に行われる。この行事にはプーチン大統領、中国の習近平国家主席はもとより、日本の安倍晋三首相も出席する予定だ。時事通信は「安倍首相の目の前で中ロの(軍事的)結束を見せる状況が発生しかねない」と懸念した。