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[コラム]熱戦・冷戦・終戦

登録:2018-08-07 22:28 修正:2018-08-08 07:32
2018南北首脳会談が開かれた4月27日、文在寅大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が軍事境界線を越えて板門店北側地域で挨拶を交わしている=板門店/韓国共同写真記者団//ハンギョレ新聞社

 ロシアのサンクトペテルブルクにあるピスカリョフスコエ追悼公園には、第2次世界大戦当時ドイツ軍の都市封鎖で飢死したり戦死した市民や軍人が100万人以上集団埋葬されている。名前も墓碑もなく、多数の区域に分かれて死亡年度を表す石碑だけがぽつんと立っている。モスクワの大祖国戦争記念館中央ホールにも戦死したり負傷した戦争英雄4万7千人の名前がぎっしりと刻まれている。第2次大戦当時、ソ連の軍人と民間人を合わせて2000~2700万人が亡くなったという。ドイツでも戦死者325万人のうち280万人がソ連軍と戦った東部戦線で亡くなった。韓国ではノルマンディ上陸作戦など西部戦線の戦闘が良く知られているが、実際の被害規模で見れば東部戦線が一層残酷で激しかった。

 1990年前後の統一過程で、西ドイツ政府は米国など西側だけでなくソ連の了解を得るためにも格別の努力を傾けた。その頃、ヘルムート・コール政府が種々の名分でゴルバチョフ政府に支援した資金だけで200億マルク(当時の韓国通貨で12兆ウォン相当)を超えると伝えられる。人類史上最もすさまじい戦闘を行った両国は、そのようにして戦争を終え、敗戦国ドイツは統一を成し遂げた。

 これに比較すれば、北東アジアの状況はきわめて逆説的だ。第2次大戦後、東西間の理念対決が続き、敗戦国日本の責任はうやむやになり、代わりに朝鮮半島が6・25韓国動乱(朝鮮戦争)に続く冷戦の被害をそっくり抱え込んだ。熱戦を闘った南と北は冷戦にまきこまれ、65年にわたり停戦状態だ。板門店(パンムンジョム)宣言で年内“終戦”に合意したが、国内外の“冷戦”既得権勢力が依然として足を引っ張っている。

 冷戦に振り回されずに着実に東方政策を繰り広げた西ドイツは、ソ連の経済危機で始まった千載一遇の機会をつかみ取った。せっかく機会を迎えた私たちも、今こそ時代遅れの“冷戦”勢力の妨害を突き抜け、“終戦”と平和に進む知恵が求められている。

キム・イテク論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/856614.html韓国語原文入力:2018-08-07 19:35
訳J.S

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