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[ニュース分析]トランプ、ポンペオ長官の訪朝を取消…長期膠着か急展開かの岐路に

登録:2018-08-27 06:21 修正:2018-08-27 08:23
専門家ら「成果なき訪朝の懸念から1日で立場を変えたもよう」 
トランプ大統領と参謀らの会議の写真公開し断固たる立場誇示 
南北首脳会談など南北関係の日程への影響は必至 
トランプ大統領、対話再開の可能性残し水面下の交渉で急進展狙う?
ドナルド・トランプ米大統領が今月24日、オハイオ州コロンバスで開かれた共和党の行事で演説している=コロンブス/ロイター、聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領がマイク・ポンペオ国務長官の8月末に訪朝を、急きょ取り消したことで、朝鮮半島非核化の日程が再び不透明になった。彼が「北朝鮮の非核化不足」と「中国の非協力」を批判し、平壌(ピョンヤン)行きの飛行機を止めただけに、特別なきっかけが作られない限り、朝鮮半島情勢はしばらく低迷するものと見られる。南北と周辺国は長期膠着の可能性が高まる中、打開策を模索しなければならない状況だ。

 ポンペオ長官が訪朝計画を発表した翌日の24日(現地時間)に、トランプ大統領がこれを取り消したのは、“成果なき訪朝”を懸念したためというのが大方の見解だ。ポンペオ長官の4度目の訪朝は、朝米が核兵器・施設の申告と終戦宣言を低いレベルでも交換する合意を導き出せる可能性を高めるものとして期待されていた。トランプ大統領は最近、「北朝鮮が非核化措置を取ったと信じている」と述べたが、実際、ポンペオ長官の訪朝と関連し、北朝鮮から満足できる答えを得られなかったものとみられる。ク・ガブ北韓大学院大学教授は「北朝鮮の核申告をいかに進めるかについて、細部的な協議ができていないようだ」と話した。エバンス・リビア元国務省東アジア太平洋担当首席副次官補は「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)に「恥をかいたり、失敗することを避けるための」決定と見られると話した。「ロシアスキャンダル」によって国内で窮地に追い込まれたトランプ大統領が、悪材料の最小化を狙った可能性もある。

ホワイトハウスでダン・スカビーノ局長(ソーシャルメディア担当)が今月24日午後、北朝鮮関連会議の場面としてツイッターに掲載した写真//ハンギョレ新聞社

 特にトランプ大統領が中国に照準を合わせたことは注目すべきだ。彼は「我々の貿易に関するより強硬な立場のため、中国が以前ほど非核化過程に積極的ではない」として、中国に警告した。また、「ポンペオ長官は近い未来に北朝鮮に行くことを待ちわびている。恐らく中国との貿易関係が解決された後になる可能性が高い」と明らかにした。朝鮮半島問題に覇権競争の一環としての「中国叩き」まで関連付けたことで、状況がさらに複雑になった。

 ポンペオ長官が訪朝計画を発表してからトランプ大統領がこれを取り消すまでの1日の間に、いかなる“事情の変化”があったかは定かではない。ホワイトハウスはトランプ大統領の決定が核心参謀らと協議した結果だと明らかにした。ホワイトハウスのダン・スカビーノ局長(ソーシャルメディア担当)は、トランプ大統領がポンペオ長官の訪朝を取り消す意向を示した24日午後、ツイッターに「大統領が今日の午後、オーバルオフィスで北朝鮮に関する会議を主宰している」として、4枚の写真を掲載した。トランプ大統領の前にマイク・ペンス副大統領やポンペオ長官、スティーブ・ビーガン新対北朝鮮政策特別代表が座っている写真だった。板門店で進められた朝米実務協議に出席したソン・キム駐フィリピン大使とアンドリュー・キム中央情報局(CIA)コリアミッションセンター長も参加した。海外出張中の「タカ派」ジョン・ボルトン国家安保補佐官もスピーカーフォンで参加した。ホワイトハウスはトランプ大統領がツイッターに書き込みを掲載した際、ポンペオ長官が一緒にいたと明らかにした。今回の決定が米国政府レベルの立場であることを強調したのだ。

 チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は、トランプ大統領の行動は北朝鮮の前向きな態度を引き出し、朝中の連帯を弱体化すると共に、北朝鮮に強硬な立場を取っているというメッセージを国内的に伝える「一石三鳥」の「高度の交渉術」と言えると分析した。彼は「ポンペオ長官の訪朝計画を発表する際、すでに取り消しを念頭においていた」可能性もあるとみた。トランプ大統領が6・12の首脳会談の取り消しをちらつかせてから、会談に復帰したのとは異なり、今回はポンペオ長官の訪朝日程を突然無期限延期するような圧迫戦術を駆使しているということだ。

 ポンペオ長官の「成功的な訪朝」を前提に外交界で取り沙汰されていた「9月の終戦宣言」シナリオは実現可能性が低くなった。むしろ、トランプ大統領が北朝鮮の非核化に進展が見られない責任を中国に転嫁したことから、中米関係までさらに悪化するものと見られる。中国は26日「米国の主張は、基本的な事実関係と異なるだけでなく、無責任だ」(陸慷外交部報道官)と、強く反発した。

 南北関係も相当な負担を抱えることになった。統一部は、開城の南北共同連絡事務所を予定通り今回中に開所すると発表したが、韓国に直接かつ間接的に「速度調整」を要求してきた米国を意識せざるを得なくなった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長が9月に行う予定の3回目の首脳会談にも、否定的な影響を及ぼすものとみられる。大統領府は予定通り進める方針を示しているが、朝米の肯定的な対話が行われない限り、南北首脳会談の成果も制限的にならざるを得ない。

 打開の望みがないわけではない。トランプ大統領はポンペオ長官の訪朝の取り消しを発表しながらも、「金正恩委員長に暖かい挨拶を伝えたい。近いうちに彼に会うことを楽しみにしている」として、朝米対話を続けていく意向を明らかにした。ワシントンのある消息筋は「米国と北朝鮮が対話そのものを止めようとしている兆しは読み取れない」と話した。しばらく停滞期が続く中でも、水面下では対話再開の動きが続くものと見られる。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/859262.html韓国語原文入力:2018-08-26 20:06
訳H.J

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