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北朝鮮の解決法は「信頼構築し段階的・同時的非核化」

登録:2018-05-09 23:25 修正:2018-05-10 17:05
豊渓里公開・抑留者釈放など相互の信頼構築 
細切れ式引き延ばしではなく非核化-体制保障を交換する意味
朝米の非核化に関連する立場//ハンギョレ新聞社

 朝米首脳会談を控えて40日ぶりに電撃的に再会した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と中国の習近平国家主席の「大連会談」の結果と関連して、北朝鮮の朝鮮中央通信の8日夜の報道には意味深長な内容がある。金委員長が習主席との首脳会談で、朝鮮半島周辺の情勢推移を分析・評価し▽戦略的機会をしっかりつかみ▽朝中間の戦術的協力を強化するための方法論的問題を話し合ったということだ。「戦略的機会をしっかりつかみ」とは、金委員長がなんとかしてドナルド・トランプ米大統領との会談を成功裏に終えるという意志を示し、「方法論的問題」とは、金委員長がトランプ大統領との談判に先立ち具体的な交渉および情勢管理の方案を習主席と相談したという意味と見ることができる。中国外交部の耿爽報道官は9日、金委員長の今回の訪中は「北朝鮮側が提案したこと」だと話した。

 朝鮮中央通信は、金委員長が明らかにした「方法論的問題」が具体的に何かは公開しなかった。だが、中国官営の新華社通信の会談結果報道によれば、「金正恩式解決法」の仕組みが表われている。

 まず、金委員長は「朝鮮半島非核化の実現は朝鮮の終始一貫した明確な立場」と再確認した。3月末の朝中首脳会談、4・27南北首脳会談板門店(パンムンジョム)宣言の「完全な非核化」と「核なき朝鮮半島」の確約の再確認だ。「非核化意志」を疑うなというメッセージだ。さらに金委員長は「関連国が朝鮮に対する敵対視政策と安保脅威をなくしさえすれば、朝鮮は核を持つ必要がなく、非核化は実現可能だ」と強調した。「完全な非核化」は、米国の体制安全保障(敵対政策と安保脅威解消)と等価交換の対象だという意味だ。「北朝鮮の完全な核廃棄以前には補償はない」という米国強硬派に向けたメッセージだ。

 さらに金委員長は、以前より具体的に構想を明らかにした。「朝米対話が作る相互信頼を通じて、関連各国は責任をもって段階的・同時的措置を取り、半島問題の政治的解決プロセスを全面的に推進し、最終的に半島の非核化と持続的平和を実現することを希望する」。まず「対話を通じた相互信頼」を、朝米双方が今まで行ったことのない旅程の案内灯として提示した。これまでに取った行動である、核・大陸間弾道ミサイル試験発射中止▽北部(豊渓里)核実験場閉鎖と外部公開▽米国人抑留者の釈放などが、“相互信頼”を重ねるための北側の善意であることを婉曲に強調したわけだ。したがって米国側も「信じることはできない」とだけオウムのように繰り返して言うなという訴えでもある。

 「段階的、同時的措置」は、金委員長が3月末の朝中首脳会談の時から明らかにしてきた朝米懸案解消の方法論だ。「等価物の同時交換」方式だ。これに対して「北朝鮮が少し出しては多くを得ようとするサラミ切り式の引き延ばし戦術を使っている」という批判があるが、全く異なる解釈もある。イ・ジョンソク元統一部長官は「トランプ大統領だけでなく金委員長も非核化プロセスを圧縮して進めたいと考えている」とし、キム・ヨンチョル統一研究院長は「早期の非核化を望むならば、相応措置のスピードを速めろという意味」と指摘した。

 これと関連して金委員長は「半島問題の政治的解決プロセスを全面的に推進」するなら、北側の非核化措置と米国側の関係正常化措置をかみ合わせようという提案を出した。キム・ヨンチョル院長は「関係の性格が変われば、核問題は自然に解決されるという意味」だとし、「重要なことは関係の性格を変えること」と指摘した。「政治的解決プロセス」が6カ国協議を念頭に置いたものかもしれないという見方もある。

キム・ジウン、イ・ジェフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/843964.html韓国語原文入力:2018-05-09 21:06
訳J.S

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