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米国のイラン核協定脱退、朝米核交渉に薬となるか毒となるか

登録:2018-05-09 23:24 修正:2018-05-10 06:45
トランプ、8日記者会見でイラン核交渉と北朝鮮核問題を直接連結 
北朝鮮には「取引ができるだろう」としながら融和的姿勢表わす 
米内外では「むしろ悪影響が大きい」憂慮の声
ホワイトハウスのジョン・ボルトン国家安保補佐官(中央)が8日(現地時間)、目前に迫った北朝鮮核協議に対してイラン核合意の破棄が「意味するものがある」と話した=ワシントン/AFP聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領は8日(現地時間)、イラン核協定からの脱退を宣言して、この決定を首脳会談を控えた相手である北朝鮮を圧迫する手段として活用した。だが、米国内外では「協定を破棄する米国を信じることができるか」として、イラン核協定脱退が対北朝鮮交渉に悪影響を与えるという批判が出ている。

 トランプ大統領は、イラン核協定からの脱退を発表する記者会見で「今日の措置は(北朝鮮に)重要なメッセージを送るものだ。米国はこれ以上むなしい威嚇はしない。私が約束すれば、私は守る」と話した。彼はその後すぐに「今、マイク・ポンペオ長官が金正恩(キム・ジョンウン)と私の会談を準備するため北朝鮮に行っている」と話した。イラン核協定の破棄と朝米首脳会談を直接関連付けたわけだ。

 ホワイトハウスのジョン・ボルトン国家安保補佐官は、これをさらに明確にした。彼はその後の背景説明で「今日の発表はイランだけでなく、目前に迫った金正恩委員長との会談にも意味するものがある」と話した。彼は「米国は不充分な取引は受け入れないだろう。北朝鮮に送るメッセージは、大統領が真の取引を望んでいるということ」と話した。イランのようにならないためには、北朝鮮が「完全で検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)に明確に同意しなければならないという意味だ。

 ただし、トランプ大統領は北朝鮮に融和的態度も表した。彼はポンペオ長官の訪朝事実を明らかにして「計画は樹立中であり、関係が構築されている。願わくば取引がなされて、中国、韓国、日本の助けで偉大な繁栄と安保の未来を得るできるだろう」と話した。

 しかし、イラン核協定からの脱退は、対北朝鮮交渉のテコではなく障害物になるという非難があふれた。パリ気候変化協定に続き、イラン核協定まで国際的約束を一方的に破る米国を、北朝鮮が信じることができるかという指摘だ。ナンシー・フェロシー民主党下院院内代表は声明を出し「北朝鮮と非核化合意をしようと努力している時点に、大統領が米国のリーダーシップを放棄する決定を下したことは、あまりに分別がなく、衝撃的であり危険だ」と批判した。オバマ行政府でホワイトハウス安保補佐官を務めたスーザン・ライス氏はニューヨークタイムズへの寄稿で「トランプ大統領は、(核問題で)はるかに進展し予測が難しくなった敵(北朝鮮)との交渉を控えて、『米国は信頼できない』と見せている」と批判した。CNNは「トランプ大統領は、自身が受け継いだイラン核協定を破棄することによって、北朝鮮との合意のための障害を育てた」と指摘した。

 ロシアも同じ憂慮を示した。オーストリア・ウィーンの国際機構に駐在するミハイル・ウルリヤノフ大使は「米国が参加する協定の信頼性を期待しにくくなった。トランプ大統領の発表は、朝鮮半島核問題解決方案の摸索に実質的打撃を加えた」と発言した。

 この日、ホワイトハウスのブリーフィングでも、ボルトン補佐官は「イラン核協定脱退は、米国は約束をしても政治的環境が変われば抜け出ることがありうるという信号にならないか」という記者の質問を受けた。ボルトン補佐官は「そうではなく、米国の戦略的利害に合わない取引を受け入れるかという問題」として、「どこの国にも過去の失敗を正す権利がある」と答えた。

ファン・ジュンボム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/843905.html韓国語原文入力:2018-05-09 21:01
訳J.S