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庶民・実用・グリーン成長…李明博の貪欲隠した偽りのイメージだった

登録:2018-03-23 02:46 修正:2018-03-23 07:20
キーワードで振り返る明博元大統領の素顔
収賄などの容疑で拘束令状が発行された李明博元大統領が今月22日、ソウル江南区ノンヒョン洞の自宅から東部拘置所に押送されている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

「道谷洞(トゴクトン)の土地がどうですって? BBKが何ですって? 真っ赤な嘘です。私はそうした人生を歩んできませんでした。誰が私に石を投げられますか」

 2007年8月17日、ハンナラ党大統領選候補選びの最後の合同演説会で、李明博(イ・ミョンバク)元大統領は絶叫するように自分の道徳性に問題がないと訴え、結局、大統領に当選した。大統領選挙当時、彼は露店商の少年から35歳の年齢で現代建設の社長に就任し、ソウル市長在職時代に清渓川(チョンゲチョン)の復元を推し進めた履歴をもとに、「庶民的なイメージ」と「成功神話」を前面に押し出した。しかし、それから10年以上経った22日、拘束令状が発付された。彼の実像は庶民でも成功でもなかった。李元大統領を飾り立てたキーワードを通じて彼の人生を振り返る。

■クッパ

 2007年の大統領選挙当時の「クッパ広告」は、李明博候補の庶民のイメージを効果的に伝えた政治広告と評価された。「毎日くだらない喧嘩ばかりして、ばかばかしい。私たちは日々の暮らしも大変で死ぬほど苦労しているのに」と話すクッパ屋の口の悪いおばあさんの叱りと、とソモリ(牛頭肉)クッパをおいしそうに平らげる李元大統領の顔、そして「李明博はお腹がすいています」というキャッチフレーズが絶妙に合わさり、有権者たちの心を動かした。当選後も李元大統領は頻繁に市場などを訪れ、市場の食べ物をおいしそうに平らげる姿を披露し、庶民大統領をアピールした。「私も幼い頃露天商をしたから、分かるが」や「私も水災に遭ったことがあるから、分かるが」など、彼の「私も経験したから、分かるが」という“語録”も在任中続いた。

 しかし、クッパ広告は当時から偽りのイメージをめぐって議論になっていた。口の悪いおばあさんの店が繁華街のソウル江南(カンナム)にあったため、古びた楽園洞(ナクウォンドン)のクッパ屋を借りて広告を撮ったことが後で明らかになった。検察が拘束令状に110億ウォン(約11億円)台の収賄および350億ウォン(35億円)台の横領など20の疑いを摘示した事実が知られて、ネット上では「クッパの代わりに国のカネを平らげた」、「『李明博はお腹がすいています』ということだけは真実だ」などの皮肉が広がった。

■電柱

 「そのポール(電柱)を移すだけなのに、数カ月たってもまだ実行されていないそうだ」。2008年1月18日、李明博当選者は大統領職引き継ぎ委員会会議で「卓上行政」の標本として、全羅南道霊岩郡(ヨンアムグン)大仏国家産業団地の電柱を取り上げた。大型トラックが移動するのに邪魔になるという企業の苦情を言及したものだ。電柱が全国的関心事に浮上したことを受け、政府と韓国電力は直ちに動きだし、2日で電柱を移した。電柱は瞬く間に卓上行政の標本であると同時に「李明博流の規制緩和」の象徴となった。「ビジネス・フレンドリー」(親企業)の「実用政府」を掲げた李明博政権の特色を示す初の事例として評価された。しかし、これは成果を目標にブルドーザーのように押し進めるCEOリーダーシップの一端を示し、その後の国政運営でもこの方式が貫かれた。米国産牛肉輸入や4大河川事業、国外の資源開発、アラブ首長国連邦(UAE)への原発輸出などは、李元大統領の政権期間中にも議論を呼んでおり、その損失は現在まで“負債”として残っている。2008年ロッテグループの宿願事業だった第2ロッテワールドの建設許可過程では、空軍の反対を黙殺し、大統領府がシナリオまで作成して深く関与したという疑惑まで最近起持ち上がっており、彼が強調した「ビジネス・フレンドリー」の裏の顔が明らかになった。これまで浮上した様々な疑惑と、最近の検察の捜査結果を見ると、李元大統領はこのような対立と議論に民間人査察やブラックリスト、国家情報院・軍サイバー司令部のコメント部隊などで対応した。

■自転車

 李元大統領は2009年4月20日、定例ラジオ演説で「自転車はグリーン成長のパートナー」だとし、自ら「自転車伝道師」を名乗った。彼は「週末には私たち夫婦は幼い孫と一緒に自転車によく乗っている」と語った。彼の自転車愛は執権後、強く進めた「グリーン成長」と「4河川事業」に繋がっている。

 しかし、グリーン成長の裏で、温室効果ガスの削減という目標の下、新規原子力発電所の建設など「原発ルネサンス」が押し進められ、現在韓国は世界第1位の原発密集国家という汚名を持つようになった。原発受注のため、アラブ首長国連邦と有事の際における軍の自動介入などの内容を盛り込んだ秘密軍事協定を結んだ事実が、文在寅(ムン・ジェイン)政府で明らかになり、再び議論を呼んだ。22兆ウォン(約2兆2千億円)の莫大な予算を投じた土木事業である4河川事業は、環境破壊や手抜き工事、建設会社の特別恩恵が問題になる中で行われた。しかし、現在管理費用だけで莫大な予算がかかり、大規模な緑藻の発生で悩みの種になっている。

■迎浦

 慶尚北道の迎日(ヨンイル)と浦項(ポハン)の略語である「迎浦」は、単に李元大統領が育った地域の名前ではない。迎日と浦項出身の公職者たちの集まりである迎浦会は、民間人査察とポスコを利用した各種の利権事業に介入したという疑惑を持たれている。イ・サンドク元議員が「迎浦会は善良な浦項出身者の集まり」だと抗弁したが、迎浦会は「万事兄通」(万事が大統領の兄を通じて行われる)、「迎浦大君」という言葉の根源地となった。

 李元大統領の所有である迎浦ビルには、彼の足を引っ張ったダースの実質的な所有主という疑惑を裏付ける資料が保管されていた。検察は今年1月、2回にわたる家宅捜索を通じて李元大統領の退任後のダース持分整理問題を検討した大統領府文書など、多数の資料を発見した。これは「ダースは李明博のもの」というダースの前職・現職の社長らと甥のイ・ドンヒョン副会長などの供述を裏付ける核心的な物証となり、検察の拘束令状にも盛り込まれた。検察は、李元大統領が100%個人資産でダースを設立しており、ダースは「裏金の源」だったという結論を下した。大統領府は国家情報院特殊活動費の授受など、李元大統領の財産増殖を助けたことが明らかになった。李元大統領は側近の不正が明らかになった2011年9月30日、大統領府拡大秘書官会議で、「我々は道徳的に完璧な政権なので、少しの見落としもあってはならない」と語った。結局、拘束収監され、裁判所の判決を待つ立場になった今、彼のこの言葉は空しいやまびこのように虚空をこだまするだけだ。

イ・スンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/837351.html韓国語原文入力:2018-03-22 23:12
訳H.J

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