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「李元大統領、容疑一つだけでも拘束の要件満たす…朴前大統領より罪質軽くない」

登録:2018-03-20 04:50 修正:2018-03-20 07:50
検察、李明博元大統領の拘束令状を請求 
「李元大統領、拘束が必要な重大な犯罪犯し 
核心関係者の供述などで十分容疑が証明されたが 
元大統領の影響力で口裏合わせする恐れも」 
さらなる犯罪の暴露続く可能性も
今月15日未明、李明博元大統領が検察の取り調べを終えて、ソウル瑞草洞のソウル中央地検庁舎を後にしている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 最高検察庁は19日、ムン・ムイル検察総長が李明博(イ・ミョンバク)元大統領の拘束令状を請求することにした背景を説明し、「法と原則に基づいた判断」という点を特に強調した。パク・サンギ法務部長官が「国の品格と対外イメージなどを考慮すると、拘束せず捜査し、裁判にかけるのが望ましい」という意見を示したが、検察としては「事案の重大さと証拠隠滅の可能性」を考慮し、原則的な決定をするしかなかったというのが最高検察庁の説明だ。

 同日、ソウル中央地検の捜査チーム関係者も「この事件は本質的には犯罪捜査で通常の刑事事件だ。(韓国の)刑事システムはこのような事件の場合、拘束捜査を行ってきた。犯行を最終的に指示した者に、より大きな責任を問うことを原則としてきた」と明らかにした。法務部がある程度政務的な考慮と判断を下したとしても、捜査チームはそれとは別に、犯罪だけを見て捜査したという点を繰り返し強調したのだ。実際、検察内部的には14日に李元大統領を召喚した時から、状請の請求をめぐり意見の相違がなかったという。捜査内容を聞いた検察幹部は「本当に一国の大統領を務めた人が犯した犯罪なのか、信じられないほど」だと話した。

 検察は捜査結果を総合してみると、令状の発付を確信している。検察は特に110億ウォン(約11億円)に達する収賄容疑のほとんどが、李大統領側から先に要求し、“入金”された後で請託を受け入れるなど、賄賂性が明白だと見ている。68億ウォン(約6億8千万円)にのぼるサムスンのダース訴訟費用の肩代わりなど「私益の追求」だけでなく、キム・ソナム元議員に比例代表の公認の見返りに受け取った4億ウォン(約4千万円)の「売官売職」の容疑などは、賄賂罪の中でも悪質なものと見ている。国家情報院(国情院)の工作費など、国の金に手を付けたのも同じだ。

 ダースの実質的な所有者という疑惑も、拘束前被疑者尋問の際、争いの余地がほとんどないだろうと検察は見ている。イ・ビョンモ清渓財団事務局長やイ・ヨンベ錦江代表など、李元大統領の金庫番の供述など、ダースが李元大統領の所有という証拠は「有り余っている」というのが検察の判断だ。キム元企画官の“情報提供”により迎浦ビルで確保した大統領府文書には、「ダース再生」に大統領府や国税庁など国家機関が動員された事実まで赤裸々に書かれている。特に、2007年11月の大統領選挙を控え、ダースの実質的な所有疑惑をめぐる攻防が最高潮に達した時もサムスンにダースの米国訴訟費用の代納を要求するなどの行動は、李元大統領が実際の所有者でなければ説明がつかない部分だ。

 検察は李元大統領のわいろ授受の実態から、さらなる犯行についての暴露がある可能性も念頭に置いている。最近、ある企業が李元大統領に当選祝賀金1億ウォン(約1千万円)を渡したという暴露が報道された。検察関係者はこれと関連し「十分あり得る話だと思う。李元大統領を取り囲んでいた堤防が崩れ落ちたのではないかと思う」と話した。

 これに対し、李元大統領側は同日まで「政治報復」を主張するだけで、今後続く拘束前被疑者尋問や裁判にいかに対応するかを示す具体的な防御戦略は公開していない。李元大統領秘書室側は同日、検察の令状請求後、「文在寅(ムン・ジェイン)政権発足以来この10カ月間、政治検察を含めた国家権力が総動員されて行われた『李明博殺し』で、すでに予想された手順」だとし、「法廷で真実を明らかにすることに最善を尽くす」と話した。李元大統領はソウル江南区ノンヒョン洞の自宅で検察の拘束令状請求の知らせを聞いたという。

キム・ヤンジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/836779.html韓国語原文入力:2018-03-19 21:29
訳H.J

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