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「李元大統領がダースの資本金を全額出資…10年前に明らかになっていれば当選無効」

登録:2018-03-21 02:07 修正:2018-03-21 08:02
検察、拘束令状請求書でダースめぐる嘘に反論 

1985年、現代自動車の提案でキム・ソンウ社長に「設立せよ」 
1990年代初めから「カネが必要」と裏金作りを指示  

側近に総額報告受け「資金伝達役」の義弟にも確認 
ソウル市長時代に大統領選挙出馬を念頭に「危険なことはするな」と中止
李明博元大統領が親李明博系関係者らとの忘年会のため、昨年12月18日午後、ソウル江南のある飲食店に入りながら取材陣の質問に答えている。後ろに李元大統領の拘束を求める市民のプラカードが見える=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 検察が李明博(イ・ミョンバク)元大統領の拘束令状を請求の際、作成した90ページの事前拘束令状請求書のうち、半分以上の50ページがダースに関わるものであることが20日に確認された。李元大統領が22年間「ダース」に関していかなる嘘を述べてきたかを詳しく反論する内容だ。これによると、李元大統領はダースを100%個人資産で設立しており、李元大統領就任後、大統領府は李元大統領の財産増殖を手助けする場所に転落した。検察はダースと関連した李元大統領の違法行為は「被疑者の(第17代)大統領当選無効事由に繋がる国の重大事案」だと拘束令状請求書に記した。

「自動車部品会社を作ろうと思っている」

 検察による李元大統領の拘束令状請求書によると、「ダース」が李元大統領の一言でいかに設立されたかがわかる。1985年当時、現代建設代表取締役を務めていた李元大統領は、チョン・セヨン現代自動車会長から下請企業の設立提案を受け、現代建設の管理部長だったキム・ソンウ元社長に「部品会社を作って育てるつもりだから、君が会社を設立するように」と指示したという。キム元社長は、李元大統領が提供した“創業準備資金”で、工場敷地を用意するなど、2年間にわたり準備作業を行った。結局、1987年7月に創立したダースの創業資金3億9600万ウォンは、100%李元大統領が負担したと検察は明らかにした。

 キム元社長と現代建設の社員だったクォン・スンホ元専務など側近で役職員を構成した李元大統領は、1987年7月から2008年2月まで、彼らからダース決算の内訳や資金運営など、全般的な状況だけでなく、大規模な設備投資など主要懸案について随時報告を受けて処理方向を直接指示したという。特に、息子のイ・シヒョン氏がダースに入社(2010年8月)した翌年の2011年1~2月からは、代表取締役の決済前に、海外法人に関するすべての事項の中間決裁と1000万ウォン(約100万円)以上の費用の決裁の際、シヒョン氏との合意を経るようにする形で、息子のダースの掌握を支援した。

「私には大きな夢があるから、今年からは危険なことをするな」

 ダースの主であることを隠した李元大統領が収益を回収するために選んだ方法は「裏金作り」だった。李元大統領は1991年11月から2007年7月まで、ダース法人資金を回収し、339億ウォン(約34億円)の裏金を作った疑いをかけられている。李元大統領はこのように作られた裏金や民間企業から受け取った各種不法資金、義弟の故キム・ジェジョン氏と実兄のイ・サンウン会長などの名義を借りて保有した各種の借名財産を集め、「財産管理人」のキム・ジェジョン氏やイ・ビョンモ清渓財団事務局長、イ・ヨンベ錦江代表などに管理を任せた。このように作られた不法資金は、資金洗浄を経て、選挙費用や友好的なジャーナリストなど、影響力のある関係者らに請託の名目で渡す「寸志」や、仲間の国会議員たちに渡した後援金、李元大統領個人事務室である「東アジア研究院」などの組織の運営経費などに使われたという。

 李元大統領は1990年代初めに裏金作りを直接指示し、カネを運搬する人物も直接選んだ。特に、裏金の総額管理のため「クロスチェック」までしたと、検察は明らかにした。キム・ソンウ元社長とクォン・スンホ元専務から裏金の総額について毎年報告を受けると同時に、「伝達の窓口」だった義弟キム氏からも裏金の総額について報告を受けた。しかし、李元大統領はソウル市長の任期末の2006年、大統領選挙に出馬する意志を固め、「私には大きな夢があるから、今年からは危険な仕事をするな」と裏金作りの中止を指示したという。

慶州のダース本社//ハンギョレ新聞社

「10年前に明らかになっていれば選挙結果が変わっただろう」

 李元大統領は、検察の捜査のたびに組織的証拠隠滅や口裏合わせで刑事処罰を避けた。1996年の国会議員選挙の際、ダース法人資金を選挙運動に使用した疑いで起訴されたが、知らぬ存ぜぬの態度を貫いた。

 第17代大統領選挙を控え、2007年7月から2008年2月まで検察、チョン・ホヨン特検の捜査まで続いたが、当選が有力だったため、検察と特検の刃は鈍かった。当時、ソウル道谷洞(トゴクドン)の土地やダースの持分、京畿道加平(カピョン)の別荘など不動産の所有が認められれば、当選無効もあり得る状況だった。検察が請求書に「当選する目的で候補者の財産に関して虚偽事実を公表した公職選挙法違反罪にも該当する」とし、「関連の刑事裁判で懲役または100万ウォン以上の罰金刑を言い渡されて確定すれば、当選無効訴訟手続きなしに当選無効になるなど、検察および特検捜査結果によって第17代大統領の就任が決まる重大な状況だった」と指摘したのもそのためだ。検察関係者は「10年前、検察および特検捜査でダースの実質的な所有者が明らかになっていれば、李元大統領が第17代大統領に就任する可能性すらなかっただろう」とし、「李元大統領の犯罪は歴史を変えた犯罪」だと規定した。

 今回の捜査で、李元大統領が大統領選挙前に「対策会議」を開き、ダースの役職員が検察の取り調べで虚偽の供述をするよう練習を繰り返しただけではなく、押収捜索に備えて証拠書類とデジタル資料を削除した事実も確認された。李元大統領に口座名義を貸した人たちを逃避させたりもした。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/836998.html韓国語原文入力:2018-03-21 04:59
訳H.J

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