政府は2014年の第9次韓米防衛費分担特別協定(SMA)交渉当時、米国に例外的に現金支援を増やせるようにした規定を国会に遅れて報告し、“裏合意”疑惑が持ち上がった韓国側首席代表のファン・ジュングク駐英国大使を、今月中に帰任させる方針だ。関連規定は、遅れたものの国会批准同意前に報告され、第8次協定にも包括的に盛り込まれた内容であり、外交部の今回の懲戒措置の背景に関心が集まっている。
外交部当局者は6日、「第9次防衛費分担金特別協定の国会批准同意過程で、協定の本文と交換覚書のほかに履行約定上の例外的な現金支援に関する文言にも合意したが、これに関する国会報告を遅らせるなど、意図的に明らかにしなかった」と話した。そして、「上記の結果から、第8次SMA交渉で確立された『現物支援の原則』の後退と共に、韓米間のSMA交渉に負担をもたらしており、今後類似事例の再発防止に向けた適切な措置として、第9次SMA交渉代表だったファン・ジュングク駐英国大使を手続きによって3月中に帰任させる予定」だと付け加えた。これに先立ち、外交部は第9次交渉過程について内部TF(タスクフォース)が調査した結果、当時、政府が米国に現金支援を増やせるようにした例外規定を報告しないことで「裏合意疑惑を招く素地を提供」したと明らかにした。
韓米は第8次協定から軍事建設費の場合、監査費(全体の建設費の12%)を除いた費用88%を全額現物支援するようにした。ところが、第9次交渉で「軍事上の必要によって可用現金が不足し、韓国と米国が合意する場合は例外的に現金を支援することができる」という例外条項を盛り込んだ別の履行約定が締結された。TFは2014年1月、政府が国会に批准同意を求めた際、本協定文と2件の交換覚書だけを提出し、当時議論中だった履行約定については意図的に報告しなかった事実を確認した。外交部側は当時、履行約定の場合は国会批准の対象ではないと主張したが、米軍特殊情報施設(SCIF)の建設支援金を念頭に置いた内容であることが確認され、“裏合意”をめぐり波紋が広がった。政界では、この約定の実際の名目が、韓国側の接近が統制された米軍の「盗聴・通信傍受施設」の建設支援という点で、政府が意図的に隠ぺいしようとしたのではないかという疑惑の声もあがった。約定が締結された後、国会報告が行われたが、関連疑惑は沈静化しなかった。
TFが先月21日、第9次交渉の過程に対する調査結果を発表した時も、外交部は「第3者的な観点から見た場合」や「裏合意と見る素地」などの表現で、この事件に対する政治的判断はしなかった。同日の発表で、外交部は第9次交渉団を率いたファン大使に「現物支援原則の後退」と「韓米間の防衛費分担特別協定交渉に負担をもたらした」責任を問い、英国大使を解任した。