在韓米軍が最近、5年間で京畿道とソウル市から少なくとも676億ウォン(約67億円)の地方税を免除されたことが分かった。在韓米軍は2012年から昨年まで5年間、ソウル市から144億ウォン(約14億円)の財産税・自動車税・地方教育税などの減免を受けた。同期間、京畿道が在韓米軍に免除した地方税のうち、推算可能な金額だけで約532億ウォン(約53億円)に達する。京畿道の場合は地方税収入の割合が大きな自動車税が抜けた金額であり、実際の免除額はこれより遥かに多くなるはずだ。このような事実はハンギョレが国会国防委員会所属のキム・ジョンデ議員(正義党)からを入手した資料と、最近1カ月にわたって直接取材で把握した在韓米軍の間接費支援現況を分析した結果だ。
韓国が在韓米軍に提供する費用支援は直接支援と間接支援に分けられる。まず、在韓米軍は、防衛費分担特別協定(SMA)によって毎年一定額を現金や現物で支給される。これに、在韓米軍に韓国軍支援団(Korean Augmentation to the United States Army, KATUSA)、私有地の賃貸料や補償・購入費、基地周辺の整備、苦情解決費用などを加えた分が政府予算で執行される直接支援だ。今年の直接支援費は、分担金9507億ウォン(約940億円)を含め、1兆ウォン(約988億円)前後だ。
しかし、隠れた費用である間接支援評価額も直接支援の費用に匹敵する。在韓米軍は韓国政府と結んだ「駐留軍地位協定(SOFA)」に基づき、基地の土地を無償で供与されている。その評価額が全体間接支援費の約70%を占める。また、ほとんどの税金と公共料金が免除され、電気・ガス・上下水道など公共サービス使用料は最低料率が適用される。今年初め、市民団体の「平和と統一を求める人々」(平統人)の情報公開請求で関税庁がまとめた資料によると、米軍は2011~2014年だけでおよそ1907億ウォン(約188億円)の関税を免除された。
2013年、国防部は翌年から適用される第9回防衛費協定交渉を控え、国会の要求で「2008~2010年在韓米軍の直・間接支援の現況」資料を提出した。2010年に支援された総額の推計は分担金7904億ウォン(約781億円)を含め、1兆6749億ウォン(約1655億円)だったが、このうち間接支援の合計が8188億ウォン(約809億円)で、総額のほぼ半分(48.9%)を占めた。この割合は3年間ほぼ変わらなかった。それから現在も在韓米軍支援の総額で間接費が占める項目と比重に大きな変化がないことから、今年、在韓米軍に対する直接・間接支援の総額は分担金9507億ウォンを含めて合計1兆8000億ウォン(約1779億円)前後に達するものとみられる。
しかし、在韓米軍間接費支援の全体規模と内訳は依然として霧の中にある。課税の根拠となる課税標準の算出が不明確である上、米軍側が正確な資料を公開しないからだ。ほとんどの自治体はSOFAの規定によって、米軍車両の課税台帳が全くなく、登録現況を管理することもない。米軍基地内の建物など保有財産も把握できない。自治体はもちろん中央政府も、在韓米軍に対する正確な税金減免額を知らず、実際の減免額に比べてはるかに少ない推定額を出さざるを得ないのも、そのためだ。行政自治部地方税特例制度関係者は、ハンギョレの地方税減免関連資料の公開要請に対し「地方税は全国233の自治体が直接管理するため、中央政府が詳細に知ることができず、資料も集計していない」と話した。
政府は2011年以降は間接費推定額を集計すらしなかった。2013年の定期国会で、チン・ソンジュン民主党議員(国防委員会)は、国防部に「公式・非公式で確認した在韓米軍駐留費用に関する内訳」と「2011~12年度、在韓米軍の直接・間接支援の現況」を要求したが、国防部は資料を提出しなかった。「(在韓米軍に対する)韓国側の直・間接貢献の評価額に両国が合意したことがなく、合意するのも難しく、(第9回)防衛費分担交渉を進めているため、これを公開するのは韓国の利益にならない」という理由からだった。
今までこのような事情は大きく変わらなかった。国防部公報担当官室は「2011年以降、在韓米軍の間接支援費用を集計したことはない」と明らかにした。ただし、「来年から始まる第10回防衛費分担交渉を控え、経済的負担の軽減など国益を守るための多様な方策を検討している」として、間接費を推算する余地は残した。