米国の要求どおり「現金の拡大」を裏面合意
国会には隠し履行約定に盛り込む方法で
「現物拡大-現金縮小」の原則から退行
米軍特殊情報施設の建設のため
全方位盗聴能力備えているが韓国の接近は封鎖
政府が2014年初め、在韓米軍駐留経費の支援に向けた第9次防衛費分担特別協定を米国と結んだ当時、例外を理由に現金支援を増やすことを約束した「裏合意」があったことが確認された。特に、米軍が要求した現金追加支援の実際の名目が韓国の接近が封鎖された米軍特殊情報施設(SCIF)だという点が注目される。
朴槿恵(パク・クネ)政権は、協定が批准・発効された後、国会の当該常任委員会に履行約定を説明する際にも、“裏合意”があった事実は隠した。履行約定は協定同様の法的拘束力を持っているが、本協定とは異なり、国会批准を必要としない。
ハンギョレが11日、共に民主党のキム・ギョンヒョプ議員室(国会外交統一委員会)を通じて入手した第9次防衛費分担協定(適用年度2014～2018)の履行約定によると、「軍事建設費」項目に第8次履行約定にはなかった内容が追加されていた。「特定の軍事建設事業が軍事的必要と所要により、米合衆国が契約締結および建設を履行しなければならず、同目的のために可能な現金保有高が不足していると韓国国防部と在韓米軍司令部が協議を通じて合意する例外的な場合には、追加現金を支援できる」
これは、簡単に言うと、在韓米軍が建設契約から施工まで全過程にわたり、米国の企業が基地内に特定施設物を建てる際、韓国政府が現物の代わりに現金の支援を増やすということだ。両国の密室の合意内容が履行約定にそのまま反映されたものだ。さらに、裏合意に言及された「特定軍事建設事業」は、米国の最高等級の軍事機密情報を扱う特殊情報施設(SCIF)を指すものだ。特殊情報施設を建設するための追加現金の支援は、米軍が交渉初期から持続的に要求してきた事案だった。同施設は韓国政府と軍関係者も接近が統制されるだけに、徹底した保安が維持される。大統領府をはじめ、韓国の重要機関を盗聴できる能力も備えているとされる。米国が韓国の資金で韓国に建てる建物と設備が、当の韓国国民と政府にとっては得体の知れない“幽霊施設”であるわけだ。
現金支援の増額に対する密室合意は第9次協定締結の直後、政府が注目すべき成果だとして掲げた「制度改善交換覚書」の趣旨とも背馳する。政府は2014年2月、国会に第9次協定の批准同意案を提出する際、協定第1条に「協定履行の責任性と透明性を高めるため…制度改善交換覚書が協定と同日に発効する」と明示したことを強調した。ところが、その裏では国民の税金で支援される在韓米軍防衛費分担金で現金支援を増やすことを、国民には内緒で約束したのだ。
市民団体の「平和と統一を求める人たち」(平統サ)のパク・キハク研究所長は「(裏合意は)政府が国民を欺き、国会を欺いたこと」だと話した。彼は「追加現金を投入するという米軍特殊情報施設は、設計・施工・監理など建設の全過程を米国工兵団と米国企業が担当する。これは防衛費分担金が韓国を防衛するためであり韓国経済に還流されるという説明とは異なり、米本国に韓国の資金が流れ、商業的利益を提供すること」だと指摘した。防衛費分担自体が在韓米軍地位協定(SOFA・ソファ)の例外協定であるうえ、米国の民間会社が恩恵を受ける現金支援は「防衛費分担」の大原則に反する退行ということだ。
国防部関係者は11日、ハンギョレに「履行約定に追加された(現金支援の拡大)文言は、当初米国側の草案を交渉して“調整”したもの」だとし、「そのような内容を政府間の本協定ではなく、機関間(韓国国防部と在韓米軍)の履行約定に盛り込むのが政府レベルでより適切だと判断した」と説明した。同関係者は「特殊情報施設(SCIF)」の国内での盗聴・傍受をはじめとする具体的実態については、「軍事機密に当たるため、答える内容が限られていることを理解してもらいたい」と話した。彼は第9次防衛費分担金協定が以前に合意した軍事建設費支援の「現物拡大-現金縮小」の原則に反するものではないかという質問には、「評価はマスコミの役目」だと付け加えた。
訳H.J(2080字)
