北朝鮮が22日、平昌(ピョンチャン)冬季五輪閉幕式に派遣すると通知してきた金英哲(キム・ヨンチョル)労働党中央委員会副委員長兼統一戦線部長は「金日成-金正日-金正恩の3代」にわたり信任を受ける核心勢力だ。また、2010年の天安(チョナン)艦事件と延坪島(ヨンピョンド)砲撃、2015年非武装地帯木箱地雷挑発など、大型の対南挑発を指揮した“背後”と名指しされてもいる。
金副委員長は、軍または特殊要職に進出する万景台(マンギョンデ)革命学院と高級将校養成のための最上級軍教育機関である金日成軍事総合大学を卒業した。金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長も2002~2007年にこの大学に通った。彼は1989年に北朝鮮人民軍の少将になり、2006年には中将、2013年には人民軍の最高位級である大将になった。金正日(キム・ジョンイル)国防委員長時期の2009年には、対南工作総責である偵察総局長に任命され、2012年に金正日勲章を受けもした。2015年末、キム・ヤンゴン統一戦線部長が交通事故で亡くなると、彼の後任として統一戦線部長に任命された。北朝鮮の対南政策にあって金正恩委員長に次いで実権を持つ人物として知られる。
南北接触の実務経験も豊富だ。1990~1992年の南北高位級会談で北側代表、南北高位級会談軍事分科委員会北側委員長、2000年の第1次南北首脳会談当時に儀式警護実務者接触首席代表を務めた。南北高位級会談の代表として参加したイム・ドンウォン元統一部長官は、著書『ピースメーカー』で彼を「軍服姿の若い金英哲・人民軍少将は、鋭い眼差しと冷たい雰囲気が漂う素気ない態度で無言で手だけ差し出した」と描写した。
彼は、韓国をはじめ米国、英国、オーストラリア、ヨーロッパ連合などの独自制裁対象でもある。米国は2010年の天安(チョナン)艦事件の背後として金副委員長を名指しし、独自制裁の対象に上げた。韓国政府も2016年3月、大量殺傷武器の開発に関与したと見て、彼を韓国国民との外国為替・金融取引を全面遮断する金融制裁対象者名簿に含めた。
保守野党はこの日「天安艦爆沈の主犯である金英哲は、決して大韓民国の土を踏んではならない」(自由韓国党)、「あえて対北朝鮮制裁を傷つけてまで金英哲を団長とする代表団の訪問を受け入れる政府の態度に憂慮の恐れがある」(正しい未来党)として強く反発した。だが政府は、代表団を受け入れると明らかにした。大統領府関係者は「(北側代表団の)閉幕式参加は、オリンピック成功のためであるだけに、大乗的な次元で私たちは代表団を受け入れる」とし「米国側との問題は協議が進行中」と話した。