大統領府は23日午後、民航機に乗って韓国を訪れるイバンカ・トランプ米ホワイトハウス顧問兼補佐官を、首脳クラスに準ずる礼遇で迎える計画だと22日、明らかにした。
イバンカ顧問は訪韓当日の夜、文在寅(ムン・ジェイン)大統領を表敬訪問した後、常春斎で開かれる文大統領との晩餐会に出席する。文大統領が「平昌(ピョンチャン)外交」期間中に公式に招待した首脳級要人のほかに昼食や夕食を共にしながら礼遇に力を入れた人は、マイク・ペンス米副大統領と金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記の特使として来た金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長など北側代表団だけだった。文大統領がイバンカ顧問との晩餐会場として常春斎を選んだのも、彼女に対する礼遇に特別に気を使っていることを裏付ける。常春斎は主に公式訪問する外国首脳らとの晩餐会場として活用されてきた。
大統領府は24日からは主に、平昌に滞在すると予想されるイバンカ顧問のため、文大統領との晩餐以外にも、(文大統領の夫人)キム・ジョンスク氏やカン・ギョンファ外交部長官との面会など、様々な日程を米国側と協議しているという。外交部は23日、イ・ウクホン儀典長とチョ・グレ北米局長を仁川(インチョン)国際空港に送り、イバンカ顧問を迎える予定だ。ノ・ギュドク外交部報道官は22日の定例記者会見で、「イバンカ・トランプ補佐官の礼遇については、米国大統領の派遣代表団長としての儀典の便宜と警護の面で、相当の待遇を提供する予定」だと述べた。
大統領府がイバンカ顧問など米国代表団(の礼遇)に力を入れている理由は、平昌五輪を機に劇的に設けられた朝鮮半島の平和や和解の基調を続けていくためと見られる。朝米関係が改善されない限り、「平昌以降」の朝鮮半島をめぐる情勢が不透明にならざるを得ない状況で、イバンカ顧問はドナルド・トランプ米大統領の意中を正確に把握しているうえ、米朝関係改善の必要性など韓国の立場を明確に伝えられる窓口だからだ。トランプ大統領の長女であり、最側近であるイバンカ顧問は、これまで知られた以上にトランプ大統領の意思決定に大きな影響力を行使すると評価されている。
実際、政府側では、イバンカ顧問の韓国訪問を通じて、マイク・ペンス米副大統領と金与正北朝鮮労働党第1副部長の面会が失敗に終わってから、トランプ大統領が朝米接触についてどのような考えを持っているのかを把握できると期待している。ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官やアリソン・フッカー国家安保会議(NSC)朝鮮半島担当大統領補佐官など、米国代表団の面々を見ても、イバンカ顧問を団長とする米代表団の訪韓が平昌五輪閉幕式の観覧と米国選手団の激励以上の意味を持っていると、政府は判断している。
政府はまた、韓国産鉄鋼の輸入規制や韓国GMの群山工場閉鎖など、最近浮き彫りになった韓米間の経済懸案に対するトランプ大統領の考えを聞くことができる機会になるものと考えている。
しかし、イバンカ顧問側が公式的に持ってくるメッセージは「平昌冬季五輪の成功的開催をお祝い」し、「韓米関係の友誼を浮き彫りにする」程度になるものと予想される。彼女が北朝鮮核問題や韓米の懸案である通商問題を公開的に言及するのは不適切だという米国内の見方もあるからだ。トランプ大統領の最側近の実力者として知られているにもかかわらず、イバンカ顧問がこれまで公式の席上で行った発言は、主に女性や人権、雇用などに限定されたものだった。ある外交消息筋は「イバンカ本人が北朝鮮や通商関連の話を公開的に発言すればどう映るかを考えているだろう」とし、「ただし、彼女が大統領代表団長という役割を担っており、職責と関係なく影響力を持っているのは事実だから、メッセージがないとは言えないだろう」と話した。