「私たちが暮らしているここ星州(ソンジュ)の地では、過去1年半、THAADという歴史的な事件が私たちの中にあまりにも多くの試練と苦痛を与えると共に、多くのことを考えるきっかけを作りました。また一方では、官と民、老若男女が一つになって、私たちの念願に向かって声を張り上げて叫んだその時の感激と感動は忘れることができないでしょう。こうした過程を体験して、私たちの人生の本質である人間中心、地域中心の共同体の必要性を切実に感じるようになりました」
3日午後6時、慶尚北道星州郡星州邑の星州ウェディング2階で開かれた「星の里共同体」創立総会で、準備委員長を務めた住民ノ・ソンファ氏(63)がこのように話した。星州ウェディング2階をぎっしり埋め尽くした170人余りの参席者から満場の拍手が起こった。ある参席者はこれを見て「星州の歴史的な瞬間」だと話した。星州は過去1年半、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備という試練を体験したところだ。
星州で行政の末端機構ではない住民中心の共同体を作ろうという話は昨年8月から出ていた。昨年12月、ノ氏が公式に提案し、住民10人が準備委を設け、会員を集め始めた。一カ月も経たないうちに約270人余りが会員に加入した。創立宣言文には「私たちの暮らしとは距離がある地方自治体、それに縛られて生きる生活から抜け出そう」、「人、地域、関係中心の星州を作っていこうと思う」と書いた。
星の里共同体は、総会、理事会、各地域委員会、各部門委員会、事務局、顧問団、諮問団から構成されている。地域委員会は、星州の10地域がすべて含まれている。部門委員会には農業委員会や商業委員会、学術・文化委員会をはじめ男女平等委員会まで作られた。官に依存せず、住民が会費を集めて自発的に運営する。早速今年からは星州独立活動家記念事業をはじめフリーマーケットと人文学教室を運営する計画だ。
住民のイ・ガンテさん(43)は「星州THAAD配備を契機に多くの住民が集まり互いに知り合い、親しくなった。過去から続いている慣行や慣習、惰性に埋もれて生きるのではなく、うちの子が生まれ育つこの土地を今よりもっと良いところに変えてみたい」と話した。
国防部は2016年7月13日、星州へのTHAAD配備を発表した。一部の住民たちがそれを阻止するために闘ったが、昨年4月26日と9月7日の二度にかけてTHAADが配備された。一部の星州住民たちは、まだ星州郡星州邑の星州郡庁の向い側の駐車場と星州郡草田面(チョジョンミョン)の韶成里(ソソンリ)会館前庭で、THAAD配備の撤回を求めて集会を開いている。星州(616平方キロメートル)は、ソウル(605平方キロメートル)と面積がほぼ等しい。だが、星州には4万5000人が、ソウルには985万7000人が暮らしている。