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金正恩の指示から6時間後に核実験、3時間後に発表「緻密な脚本」

登録:2017-09-04 03:18 修正:2017-09-04 07:19
強さを増していく北朝鮮の挑発 
金正恩が強調した「任意時刻の実験」を誇示 
ICBMとの同時開発を示し 
「最終完成」と発表せず追加挑発を予告 
米国との交渉前に“核武装の完成”目指すものと見られる
今月3日午後、ソウル駅の待合室で、ある軍人が北朝鮮が6回目の核実験に成功したと発表する内容の放送画面を見ている=パク・ジョンシク//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)政府発足以来初めて、北朝鮮が3日、核実験を断行した。最近、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星-14」型の試験発射に2度も成功した北朝鮮は同日、6回目の核実験が「大陸間弾道ロケット装着用の水爆実験」であることを明らかにした。水爆を装着したICBMを米国本土まで飛ばせることを誇示するためとみられる。

 同日、北朝鮮は核実験に対する関心を最大限引き上げるため、緻密な脚本どおりに動いた。「朝鮮中央通信」は朝6時30分、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が核兵器研究所を訪れ、「核武力の兵器化事業」を現地指導したとし、「最高指導者同志は新たに制作した大陸間弾道ロケット弾頭部に装着する水爆を視察した」と報じた。北朝鮮は、それから6時間後の午前12時29分に核実験を実施し、「朝鮮中央テレビ」は実験から3時間過ぎた午後3時30分、「重大発表」を通じて核実験の事実を確認した。同報道によると、金委員長は午前に党政治局常務委員会を主宰し、「国家核武力完成の完結段階」という目標を達成するため、核実験実施を決定しており、金委員長の指示直後、北朝鮮は咸鏡北道吉州郡(キルジュグン)豊渓里(プンゲリ)にある核実験場で核実験を実施した。これは、金委員長が普段から強調してきた通り、「任意の時刻」に核実験を行うことができるよう、万全の準備ができていることを強調するための措置とみられる。

 これまで5回にわたる北朝鮮の核実験は、2013年の3回目の核実験以降、全く違う様相を呈した。1~3回目の核実験は北朝鮮の長距離ミサイル発射に対する国連安全保障理事会など国際社会の制裁に反発し、これを核実験の名分に掲げた。時期的にも2006年10月9日(1回目)▽2009年5月25日(2回目)▽2013年2月12日(回目)など、約3年の間隔を維持したこともほとんど同じだ。

 しかし、昨年1月6日(4回目)と9月9日(5回目)に実施した核実験はこれまでとはかなり異なる。実験の周期が短くなり、ミサイル試験発射と核実験の前後関係も薄くなった。5回目の核実験以降、北朝鮮が見せてきた動きを辿ってみると、北朝鮮が核武装を早期に決着するため、核弾頭と運搬手段(ミサイル)を同時並列的に開発していることが分かる。

 実際、北朝鮮は今年に入って北極星2型(MRBM・中距離弾道ミサイル)と火星-12型(IRBM・中長距離弾道ミサイル)、火星-14型(ICBM)を集中的に披露した。射程距離が1200~2000キロと評価される北極星2型は、朝鮮半島と日本列島を脅かせるものだ。火星-12型(射程距離3700~6000キロ)は先月9日、北朝鮮人民軍総参謀部報道官が明らかにしたように、グアムを含めた「米軍太平洋作戦区域」を攻撃するためのものだ。7月に2度も試験発射に成功した火星-14型(射程距離6700~1万キロメートル)は、米本土をも脅かせる。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領就任後、北朝鮮は合わせて9回弾道ミサイルの発射試験を行った。特に、5月14日と8月29日の2回にわたって火星-12型を、7月4日と28日にも火星-14型を成功的に発射した。これまで5回の核実験当時は、北朝鮮の弾道ミサイル開発は“進行形”だったが、6回目の核実験を控えては“完了型”に近づいていたということだ。

今月3日午後、北朝鮮の平壌市民たちが未来科学者街に設置された大型の放送画面を通じて「朝鮮中央テレビ」のリ・チュンヒ・アナウンサーが6回目の核実験の成功を発表するのを見ている=平壌/AFP聯合ニュース

 同日、北朝鮮は「朝鮮中央テレビ」を通じて発表した「核兵器研究所声明」で、「大陸間弾道ロケット装着用の水爆実験の完全成功は…我々の核兵器の設計や制作技術が核兵器の威力を攻撃対象と目的によって任意に調整できる高い水準に到達したということを明確に示してくれた」と主張した。国連安保理をはじめとする国際社会の制裁にも関わらず、運搬手段と核弾頭をいずれも確保したという点を改めて強調したのだ。

 「核兵器研究所声明」は同日、核実験について「国家核兵力完成の完結段階の目標を達成するに当たって、大変有意義な契機」だと評価した。「国家核兵力」の最終完成を宣言しなかったのは、今後、追加の核実験があり得ることを意味する。結局、6回目の核実験を通じて、金正恩労働党委員長は米国と交渉に先立って核武装の完成を目指す意向を示唆したものと見られる。

チョン・インファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/809493.html 韓国語原文入力:2017-09-03 22:47
訳H.J(2230字)

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