裁判所がサムスン電子・ハイニックス半導体の協力会社で働いていた労働者の乳がんを、業務上疾病(労働災害)として認めた。また、裁判所は、勤労福祉公団がずさんな疫学調査を基に当該労働者の労災申請を受け入れなかったとして、「非常に不当な措置」だと指摘した。
ソウル行政裁判所行政6単独シム・ホンゴル判事は、不良の半導体チップを再加工するK社で5年余り勤務してから、2011年末に乳がんを発病したキム・ギョンスン氏(55)が勤労福祉公団に対し「療養不承認処分」の取り消しを求めて起こした訴訟で、原告勝訴判決を言い渡したと13日明らかにした。
シム判事は「キム氏が多少非正常な作業環境の事業場で勤務している間、エチレンオキシドなどの発がん物質を含めた各種の有害化学物質などに持続的に露出した状態で、夜間・延長・休日勤務を行っていた」とし、「このために乳がんが発病したか、悪化したと推測できる」と判決の理由を明らかにした。同社にキムさん以外に乳がんの診断を受けた労働者が3人もいるという点も、労災認定の背景となった。
特にシム判事は、業務上疾病の承認を判断する勤労福祉公団と産業安全保健研究院の疫学調査がずさんだった点も指摘した。シム判事は「公団が産業安全保険研究院に疫学調査を依頼した後、『エチレンオキシドガスへの露出量を確認するため作業環境測定を行い、再依頼しててほしい』という返信を受けてからも、何の処置もしなかった過ちがあるにもかかわらず、公団の過ちでずさんになった疫学調査を根拠に業務上疾病として認定しなかったのは、非常に不当な措置」だと指摘した。産業安全保険研究院の疫学調査についても「事業所が設立された後の2009年以降の資料だけを前提に行われており、キム氏が勤務した2006年9月~2009年8月までについては調査が行われなかった」として、「問題がある」と批判した。
キム氏の訴訟を見守った「半導体労働者の健康と人権を守るパンオルリム」のイ・ジョンラン労務士は「勤労福祉公団と産業安全保険研究院のずさんな業務処理によって被害者の苦痛がさらに大きくなった」とし、「公団は過ちを認めて被害者に謝罪し、不当な控訴をしてはならない」と話した。