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「不妊も労働災害」勤労福祉公団が初めて認定

登録:2017-03-19 22:19 修正:2017-03-20 05:51
サムスン半導体器興(キフン)工場で15年勤めた女性労働者 
流産ではなく「不妊」を業務上疾病に認定したのは初めて 
公団「毒性化学物質への露出・交代勤務によるもの」 
パンオルリム「毒性化学物質、政府が対策を立てよ」
サムスン半導体器興工場=資料写真//ハンギョレ新聞社

 女性労働者の「不妊」が労働災害と認定された初めての事例が出た。少子化による母性保護に対する関心と労働環境での生殖毒性物質に対する関心が高まっている中、不妊が「業務上疾病」に認められたのは意味が大きいという評価が出ている。

 勤労福祉公団は、サムスン半導体器興(キフン)工場で生産職労働者として15年間働いたK氏(39)が、不妊を業務上疾病と認め療養給与を支給してほしいと申請したことに対して、「業務上疾病」と認め療養給与の支給を承認したと19日明らかにした。K氏は高等学校を卒業して1997年にサムスンに入社した後、30歳だった2008年から不妊治療を受け、2012年に稽留流産などで体調を崩し退社した後、2013年に労災承認を申請した。

 K氏に対する勤労福祉公団の業務上疾病判定書によると、「15年間半導体工場の生産職労働者として交代勤務を遂行し、少量だがエチレングリコールなどの有機化合物などに露出され、長期間交代勤務による過労とストレスで免疫力低下など身体機能が弱化し、『不妊』を誘発したものとして業務との因果関係が認められる」と明らかにした。半導体工場などで洗浄液に使用されるエチレングリコールは、奇形児出産を誘発する物質で生殖毒性物質に分類される。不妊と流産は2015年にサムスンの職業病調整委員会の勧告案には補償対象疾患に含まれたが、サムスンが自主的に作った補償委員会の基準には含まれなかった。

 生殖機能・生殖能力・胎児の発生発育に有害な影響を与える物質である生殖毒性物質は、直接さらされた個人だけでなく、次世代にまで健康問題を発生させるという点で被害が広範囲だという評価を受けてきた。産業安全保健公団の資料によると、2014年に作業環境実態調査資料をもとに、5人以上の事業場で生殖毒性有害因子露出の可能性が高い女性労働者数は3万3828人で、生産職の全女性労働者数(49万9194人)の6.78%に達した。業種別には皮・カバン・靴製造業、電子産業、繊維製造業、食料品製造業の順で従事者の数が多かった。

 昨年12月、国家人権委員会が発表した「生殖毒性物質取扱労働者の人権状況実態調査」報告書によると、生殖毒性物質を取り扱う女性看護士406人のうち、難妊を経験した人が27%、早産・死産・自然流産を経験した人が22.8%、月経異常が20.2%と高く現われた。2007~2015年に健康保険に職場加入した女性労働者は、流産・死産率が13.9%だったが、製造業に限って分析した結果、木材・木製品・家具製造業が16.6%、ゴム・プラスチック製造業が16.2%などの高い流産・死産率を示した。

 労災申請を代理した市民団体「半導体労働者の健康と人権保護のパンオルリム」はこの日声明を出し、「同じような疾患で苦しむ他の労働者たちにも勇気を与え、労災認定につながることを希望する」とし、「毒性化学物質など半導体労働者の健康と生命を脅かす要因に対する政府レベルのきちんとした対策が講じられなければならない」と明らかにした。漢陽大学医科大学のキム・インア教授(職業環境医学)も「少子化が社会的に問題となっている状況で、生殖毒性物質に対するもっと積極的な管理・監督があってこそ、健康で安全な出産が可能だ」とし、「可妊期・妊娠女性労働者に対して生殖毒性物質を扱うことができないようにする政府の積極的な規制がなければならない」と明らかにした。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/787066.html 韓国語原文入力:2017-03-19 20:56
訳M.C(1664字)

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