今回の韓米首脳会談は成功的というのが大方の評価だが、冷や汗が流れる瞬間もあった。
30日(現地時間)午前に行われた単独首脳会談や拡大首脳会談までは比較的順調だった。北朝鮮の核問題を含む事案では大きな異論もなく、貿易収支については議論が長くなったが、互恵貿易の原則を確認する線で決着をつけた。会談中、ドナルド・トランプ大統領は文在寅(ムン・ジェイン)大統領との関係を「非常にいい」(very very good)や、「素晴らしいケミストリー」(great chemistry)とまで表現したという。
問題は午前に首脳会談を終えた後、ホワイトハウス前のローズガーデンで開かれた共同マスコミ発表の際、トランプ大統領の「突発的発言」が飛び出してからだった。トランプ大統領は「ご存知のようにその貿易協定(韓米FTA)の期限が近づいて来ている。私たちはうまく交渉するだろう」とし、韓米自由貿易協定(FTA)の再交渉を事実上公言した。自由貿易協定の再交渉に関する言及がなかったという大統領府の説明と食い違う内容であり、「失敗した会談」ではないかという声も聞こえた。さらに、半日以上も共同宣言文の発表が遅れると、首脳会談が成果なく終わったのではないかという推測も流れた。
これまで米政府は首脳会談の終了と共に共同声明を発表してきたが、トランプ政権では首脳会談後、しばらく経ってから共同声明を発表することが多かった。米国とサウジアラビアの首脳会談は3日後に共同声明を発表しており、米中首脳会談後には共同声明を発表しなかった。
マスコミ発表を行ってから共同声明が公開されるまでの7時間、大統領府関係者たちは緊張を緩めなかった。歴訪に同行した共に民主党のキム・ギョンス議員は、フェイスブックに「(ホワイトハウスの)発表を待ち続けていた7時間が7年のようだった」と書き込んだ。彼は「共同声明に私たちの要求事項が十分に反映されたと見た韓国側は、マスコミ発表で原論的言及だけをした一方、トランプ大統領は共同声明に盛り込まれていない韓米自由貿易協定の再交渉を含めた両国間の貿易不均衡問題を具体的に言及した。マスコミがマスコミ発表文だけで記事を掲載しているのに、共同声明の発表が遅れた」とし、「もし共同声明が発表されず、マスコミ発表文だけで首脳会談が終わったら、国内の保守メディアが会談の成果を酷評する記事を先を争って掲載するのは目に見えていた」と書いた。
結局、ホワイトハウス側が同日夜7時に共同声明案を原案通り決裁してから、ようやく大統領府側は安堵した。共同声明には、自由貿易協定の再交渉に対する言及がなく、「両国間の相互的な恩恵や公正な待遇」と「公正かつ公平な競争条件の増進」のような「中立的な」表現が明記された。
一方、文在寅大統領は当初、今回の歴訪日程になかったジョン・マケイン上院軍事委員長に会った。これに先立ち、ある日本のメディアが新政府の発足後、マケイン議員が韓国を訪問しようとしたが、文大統領が消極的だったため、面談が実現しなかったと報じたことに対し、大統領府は日程が合わなかったと反ばくした。文大統領はマケイン議員に「今年5月の訪韓が日程上実現しなかったのは残念だ。韓国を訪れることがあったら、いつでも連絡してほしい」と述べた。