文在寅(ムン・ジェイン)大統領の初の首脳外交は、短い準備期間からすれば期待以上の成果を上げた「無難な出発」と評価されている。就任後約50日で行われた韓米首脳会談で、文大統領はドナルド・トランプ米大統領と韓米同盟の多元的・包括的発展に対する確固たる意志を固める一方、平和的・外交的方式を通じた朝鮮半島非核化の重要性も再確認した。特に、朝鮮半島情勢を韓国が主導するという新政府の政策構想について、トランプ大統領の支持を引き出したことで、今後南北関係改善をはじめ対北朝鮮政策推進も弾みをつけるものと見られる。
先月30日(現地時間)発表した韓米共同声明を見ると、両首脳は「完全かつ検証可能で不可逆的な朝鮮半島非核化」を共同の目標にした。また、北朝鮮の核問題解決に韓-米両国が最優先順位を付与することにし、これを平和的方法で達成するため、緊密に協力することにした。
共同声明は、北朝鮮の核・ミサイルの脅威が継続する状況で、国際社会が「非核化交渉に復帰するよう北朝鮮を外交的・経済的に圧迫」することについては肯定的に評価しながらも、「制裁は外交の手段」という点も明示した。また両首脳は「高官級戦略協議体」を新設し、非核化に向けた対話に必要な環境を整える案など、対北朝鮮政策全般について緊密に調整することで合意した。これはトランプ政権の北朝鮮政策の基調である「最高の圧迫と関与(交渉)」について両方が同じ立場だということを確認するとともに、圧迫から交渉に移る「連結の輪」を作るため、双方が積極的に動くという意志の表示と見られる。高官級戦略協議体という“制度的”通路を通じて、いわゆる「コリア・パッシング」(韓国排除)に対する憂慮を払拭し、韓国側の立場を貫徹できる仕組みを確保したという評価も出ている。
これと関連して、文大統領は首脳会談直後にトランプ大統領と行った共同マスコミ発表で「制裁と対話を活用した段階的で包括的なアプローチをもとに、北朝鮮核問題を抜本的に解決していこうという意志を共にした」と明らかにした。「段階的かつ包括的な」北朝鮮核問題のアプローチは、文大統領がこれまで「韓国の構想」として何度も示したものであり、「北朝鮮核の凍結」を朝鮮半島非核化に進む入口として、究極的に「北朝鮮の完全な核廃棄」を出口と明示する2段階解決策だ。
何よりも朝鮮半島の平和統一に向けた環境造成において、韓国政府の主導的役割と離散家族再会など人道主義的事案を含めた南北間の対話再開について、トランプ大統領の支持を導き出したのは今回の首脳会談の最大の成果として挙げられる。南北関係を軸として、非核化と平和体制の構築という朝鮮半島の未来ビジョンを韓国が主導できる「狭いが意味のある」外交的空間を確保したという評価だ。
しかし、韓米日3国間安保および防衛協力をさらに発展させていくことを明示することで、文大統領が中国の習近平国家主席との首脳会談の際、中国を説得するのに負担を抱えることになった側面がある。中国は韓米日安保協力を自国に対する包囲戦略として認識する傾向を見せてきたからだ。
文大統領もこれから先に控えた難関を念頭に置いたかのように、2日の帰国あいさつで「朝鮮半島の恒久的な平和体制を構築するための長い道のりを始めなければならない」とし、「もうその第一歩を踏み出した。遠くて険しい道になるだろう。一つずつ複雑に絡み合った結び目を解きながら行く」と述べた。