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国家情報院のバイト部隊“アルファチーム”組織員が初めて暴露

登録:2017-04-16 21:36 修正:2017-04-17 07:47
国家情報院アルバイト部隊員K氏 
『ハンギョレ21』と単独インタビュー 
2008年米国産牛肉反対ろうそく集会直後に結成 
「国家情報院が『国のために世論を変える 
仕事をしてほしい』と言った」 
「月に50~60万ウォン受け取り 
ポータル掲示板などで活動」 
「龍山惨事」衝突現場の撮影などオフライン活動も要求
国家情報院全景=資料写真//ハンギョレ新聞社

「作成した掲示文の数に応じて月に50~60万ウォンを受け取った」

 国家情報院が“アルファチーム”という名前の民間世論操作組織を運営していた情況が明らかになった。彼らはオンラインで政府を擁護する掲示文を作成する一方、「龍山惨事(龍山(ヨンサン)撤去民死亡事件)」抗議集会など李明博(イ・ミョンバク)政権序盤期の国政運営に大きな負担を与えた集会などに参加して、動画を撮る作業にも動員された。2008年12月から2009年4月まで、アルファチームで活動したK氏は15日、『ハンギョレ21』の取材チームと会い、こうした事実を暴露した。関連証拠としてアルファチームの活動内訳が書かれた数十通の電子メールと入金内訳が記録された通帳の原本、国家情報院から通達された世論操作用参考資料を公開した。アルファチームのような国家情報院の“アルバイト部隊”の実態が公開されたのは今回が初めてだ。

 K氏の証言と彼が公開した電子メールによれば、アルファチームが結成された時期は2008年春~夏にかけて李明博政権に大きな打撃を与えた「米国産牛肉反対ろうそく集会」が終わった直後の12月だった。10人前後の右翼青年たちで作られたアルファチームのリーダーは、キム・ソンウク現韓国自由連合代表であった。キム代表とK氏らがやりとりした電子メールを見れば、キム代表は「学校」という暗号で呼ばれた国家情報院から世論操作指針を受け取り、チーム員に対して、当時世論形成に大きな影響を及ぼしたダウムの「アゴラ」などの掲示板に政権を擁護し批判勢力を攻撃する文を掲示することを指示した。K氏は「2008年12月、国家情報院職員6~7人からソウル光化門(クァンファムン)のある中華料理屋で一種のオリエンテーションを受けた。この会議にはアルファチームの初期メンバーだった6人程度が参加したと記憶する」と話した。また彼は「この席で国家情報院側が『国のために世論を変える仕事をしてほしい』と言った。細かい活動課題はキム代表が電子メールでチーム員に伝達した」と話した。活動の見返りにK氏など右翼指向の青年たちは掲示物一つにつき2万5000ウォン~5万ウォン(2500~5000円)程度の“原稿料”を受け取った。K氏は「多い月で50万~60万ウォン(5~6万円)程度になった。原稿料はキム代表から銀行口座を通じて入金された」と話した。こうした事実は2009年初めのK氏の銀行入出金取引内訳を通じて確認される。

 彼らの活動の舞台はオンラインだけではなかった。李明博政権の2年目である2009年1月「龍山惨事」が発生し、それに対する真相究明と政府謝罪、責任者処罰を要求する集会が活発になると、アルファチーム員は集会現場で動画を撮影してくることを要求される。K氏は「国家情報院の要求で龍山惨事の集会動画も撮った。集会があった日の昼に光化門の○刺身屋で国家情報院の職員5人、アルファチーム5人程度が一緒に昼食を食べた。この席で国家情報院はモトローラスタータック(携帯電話の機種)と見られる動画撮影装備をチーム員に配り、集会で起こった暴力行為や衝突などを撮るように言った」と話した。K氏はさらに「この作業に対する報酬として10~20万ウォン(1~2万円)程度を受け取ったと記憶する」と付け加えた。K氏はその他に「他のチームがあったという話は聞いたが、具体的な実体は分からない」と答えた。国家情報院が民間人に金銭的な見返りを支給して、世論操作や集会罪証を指示する行為は、国家情報院法違反だ。

 K氏はアルファチームの存在を今になって打ち明ける理由として「私は相変らず保守主義者だ。保守の価値は伝統を守り憲法を守護し、事実と真実を追求することだ。今の保守は自身が追求することのためには手段も方法も選ばないという気がする。このような保守が影響力を持ち続けてはならないと思う」と話した。K氏の証言に対してアルファチームの管理者として名指しされたキム・ソンウク代表は、『ハンギョレ21』との電話取材で「アルファチームを運営することはしたが、国家情報院の指示ではなく自発的にしたことだ」と弁明した。国家情報院も「該当疑惑はすべて事実無根」と明らかにした。アルファチームの活動の具体的な内容は17日に公開される『ハンギョレ21』1158号に詳しく掲載された。

キム・ワン、チョン・ファンボン、ハ・オヨン『ハンギョレ21』記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/790900.html 韓国語原文入力:2017-04-16 16:52
訳J.S(2133字)

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