検察が前回の大統領選挙時、「左翼梟首」という別名を使用した国家情報院職員と似た活動をした他の同院職員を調査したにもかかわらず、立件すらしていない事実が追加で明らかになり、事件を縮小・隠蔽した疑いが高まっている。これに先立ち検察は、この左翼梟首に対する告発が受理されてから、2年5カ月過ぎてから起訴し、処罰に消極的との指摘も受けた。
18日、検察関係者の話によると、検察は左翼梟首を名乗る国情院対共捜査局職員ユ氏と他の国家情報院職員3人が「DCインサイド」と「日刊ベスト貯蔵所」(イルベ)などのインターネットコミュニティに政治的なコメントを複数掲載した事実を確認し、2013年7月、彼らに対する参考人調査を行った。このうち、ユ氏のコメント活動は、先に特別捜査チームが2013年6月ウォン・セフン元国情院長を起訴する際に、裁判所に提出した犯罪一覧表が公開されて明らかになった。
犯罪一覧表には、ユ氏が作成した文章が一部含まれており、この文章をもとに追跡に乗り出したネチズンなどが、ユ氏がDCインサイドに大規模なコメントを作成したという事実を追加で発見した。この事実が公開されると、ユ氏に対する告発が続いた。ユ氏が性的に不快な表現を使った非難文を載せたインターネット時事放送司会者イ・ギョンソン氏も、2013年10月にユ氏を告訴した。
当時、国情院心理戦団の組織的なコメントの活動に集中していた特別捜査チームは、他の部署に所属するユ氏など4人に対する捜査を見送った。この捜査が再開されたのは2014年だ。当時、検察は、彼らのうち、コメントの活動が露出したユ氏だけを被疑者として立件して捜査を進めた。検察は2年以上、ユ氏の事件を先延ばししていたが、昨年11月にユ氏を侮辱罪と国家情報院法違反容疑などで起訴した。ユ氏を除く3人は、追加調査はもちろん、立件すらされなかった。
検察関係者は、「左翼梟首の場合、いくつかの掲示文が選挙に関与したと思われる部分があり、侮辱罪で告訴もされた状態だったので、起訴したが、残りは選挙に関与したと判断するのが難しく、立件しなかった」と明らかにした。
しかし、2013年当時、国情院は検察に逮捕された国家情報院職員に弁護士を送り、陳述しないように勧めるなど、特別捜査チームの捜査に非協力的だった。このような状況で、国家情報院職員が被疑者でもない参考人調査に素直に応じたのは、疑いがかなり立証されたためである可能性が高い。特に彼らが主に活動したのが、普段野党政治家などに対する無差別的な非難文がよく掲載される「イルベ」だったことから、「残りの国家情報院職員の場合、犯罪容疑があると判断するのが難しかった」という検察の説明をそのまま信じるわけにはいかない。このため、検察は告訴・告発が受理されたユ氏は仕方なく起訴するしかなかったが、残りの国家情報院職員は、大統領選挙の世論操作の波紋がさらに広がることを恐れ、事件を隠蔽しようとしたのではないか、という疑惑が持ち上がっている。
検察関係者は「不法選挙運動に当たるか否かは、選挙関連のコメントを掲載しただけでは不十分で、特定候補者の当選や落選のための意図がなければならない。『左翼梟首』には(そのような)方向性があったと判断した」と釈明した。しかし、検察はユ氏と他の3人のコメントにどのような違いがあって起訴と不起訴に分かれたのかについては、明確に説明しなかった。
韓国語原文入力:2016-01-18 19:21