裁判所が控訴審でも現代・起亜自動車の不法派遣を認めた。裁判所の判決により両社の社内下請け労働者652人は正社員労働者としての地位を認められることになった。
10日、ソウル高裁民事1部(裁判長キム・サンファン)と民事2部(裁判長クォン・キフン)は、現代自動車社内下請け労働者159人と起亜自動車社内下請け労働者493人が現代・起亜自動車を相手に提起した勤労者地位確認訴訟控訴審で、1審どおり原告勝訴の判決を下した。労働者がこれまで受け取れなかった正社員賃金と社内下請け業者から受け取った賃金差額も支給せよと裁判所は判決した。派遣勤労者保護等に関する法律は、製造業の生産工程への労働者派遣を禁止している。
裁判所は1審と同じく車体・塗装のような直接生産工程だけでなく、エンジン・バンパー製作工程、生産管理・出庫・包装業務などの間接工程についても不法派遣と認定した。民事1部は「起亜自動車は社内下請け業者に対して作業配置権・変更決定権を行使し、具体的な作業指示と監督をした」として「起亜自動車は一台の自動車を生産するための必須工程であることを前提に、正社員労働者と社内下請け労働者を区分せずに業務を分担させた」と明らかにした。また「起亜自動車は社内下請け業者の労働者の雇用・雇用継承に相当程度の影響力を行使し、労働者の勤怠を把握した」として「社内下請け業者の分社・廃業など本質的経営事項に関与した」と指摘した。裁判所は、現代自動車が別の業者と請負・委託契約を結んだ後、この業者と契約を再び結んだ2次協力業者に対しても不法派遣を認定し、所属労働者の現代自動車正社員労働者としての地位を認めた。
現代・起亜自動車の不法派遣の歴史は非常に長い。2004年に労働部が現代自動車を特別勤労監督した後、9300あまりの生産工程がすべて不法派遣に該当すると結論を出したが、検察は現代自動車を無嫌疑処分にした。しかし、2010年に大法院(最高裁)は現代自動車社内下請け労働者チェ・ビョンスン氏の不当解雇救済申立て関連訴訟でチェ氏に軍配を上げて、現代自動車の不法派遣が認められた。以後、現代・起亜自動車の社内下請け労働者が会社を相手に集団で勤労者地位確認訴訟を起こし、1審のソウル中央地裁は2014年9月に現代自動車・起亜自動車の不法派遣を相次いで認めた。現代・起亜自動車はこの判決にもかかわらず社内下請け労働者全員を正社員化しなかったが、現代自動車は数回の労使合意を経て2014年から6000人を、起亜自動車は昨年から1049人を特別採用することで合意した経緯がある。
現代・起亜自動車の関係者は「判決文を綿密に検討した後、上告するか否かを決める」として「今回の判決と別に会社は既存の労使間合意を誠実に履行することにより下請け問題を根本的に解決していく」と明らかにした。