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「弾劾審判、速やかに結論出すべき」釘を刺して去った憲法裁所長

登録:2017-02-01 04:32 修正:2017-02-01 09:01
31日退任辞「すべての国民が共感するだろう」 
8人の裁判官ら「3月13日前に判決」に共感  
権限代行にイ・ジョンミ裁判官が有力…2月弁論終決の可能性 
憲法学者ら口揃えて「大統領重大な憲法・法律違反」
パク・ハンチョル憲法裁判所長が1月31日午後、ソウル鍾路区齋洞にある憲法裁判所で退任式を終えた後、職員たちに手を振って正門を通じて憲法裁判所を後にしている。パク所長の後方で弾劾審判の棄却を求める集会が開かれている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 パク・ハンチョル憲法裁判所長が任期最後の日まで迅速な弾劾審判の決定を強調して裁判所を後にした。残った8人の裁判官もイ・ジョンミ裁判官が退任する3月13日前に弾劾審判決定宣告をすべきということに共感しているという。

 パク・ハンチョル憲法裁判所長は31日、憲法裁で開かれた退任式で「憲法裁は大統領弾劾審判という重大事案を迎え、公正かつ速やかに手続きを進めるため、最善を尽くしている」としたうえで、「残った方々に困難な責務を負わせてこの場を離れることになり、心が非常に重い」と話した。さらに、「世界の政治と経済秩序の激変の中で、大統領の職務停止の状態がもう2カ月近く続いている状況の重大性からして、速やかにこれに対する結論を下さなければならないということには、すべての国民が共感するだろう」とし、迅速な結論の必要性を強調した。

 これに先立って、パク憲法裁判所長は1月25日、最後に参加した朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾審判の9回目の弁論で「憲法裁の構成にこれ以上大きな問題が発生する前に、遅くとも(イ・ジョンミ裁判官が退任する)3月13日までにはこの事件の最終決定が言い渡されなければならない」と明らかにした。イ・ジュンファン弁護士など、朴大統領の代理人たちが反発したが、パク所長は「裁判官1人がさらに空席になる場合、審判結果を歪曲させる恐れもあるため、この事件の審理と判断に甚大な支障を与える可能性が非常に高い」として、意志を曲げなかった。

 憲法裁の周辺でもパク・ハンチョル所長のようにイ・ジョンミ裁判官の退任後、7人の裁判官だけが残って弾劾審判を審理する状況に対する憂慮の声が高まっている。弾劾審判の審判定足数である7人の決定は弾劾の認容でも棄却でも、決定の正当性だけでなく、憲法裁の決定の政治的重みまで毀損する恐れがある。さらに、朴大統領の弾劾決定には、裁判官6人以上の賛成が必要だが、2人だけが反対しても、弾劾審判が棄却されかねず、パク所長が言った「結果を歪曲する」可能性も高い。このために裁判官たちの間でもイ裁判官の退任前に弾劾審判の決定を下さなければならないという意見に共感しているという。

 憲法裁は2月中の弁論終結を目標に審理にさらに拍車をかける見込みだ。憲法裁は1日、裁判官会議を開き、弾劾審判の裁判長の役割を果たす憲法裁所長権限代行を選出する。慣例に従って先任のイ・ジョンミ裁判官が権限代行に選出され、弾劾審判を進めるとみられる。憲法裁は1日、7日、9日に10人の証人尋問を控えている。9日に開かれる12回目の弁論以降も、憲法裁は尋問期日が決まっていない証人7人の追加尋問を受けるため、2月の第三週に1~2回弁論期日を指定してから、弁論を終結する可能性が高い。その後の決定文作成に必要な時間を考慮すれば、2月末から3月初めの宣告が予想される。

 弾劾審判の最後の問題は、朴大統領側の代理人の対応だ。代理人の総辞職から証人追加申請、朴大統領の憲法裁への出廷まで、多様な“引き延ばし戦術”が予想される。代理人の辞任を意味する「重大な決心」に言及した朴大統領側に対抗して、国会の訴追委員団は先週29日、憲法裁に代理人がいなくても弾劾審判を進めることはできるという内容の準備書面を提出した。

 韓国憲法学会と憲法理論実務学会も同日、「弾劾審判の実体法的争点」討論会を開き、憲法裁の早急な決定を促した。憲法理論実務学会のキム・ソンテク会長(高麗大法科大学院教授)は、開会のあいさつで、「大統領側の代理人の時間稼ぎ戦術で弾劾審判がしきりに先延ばしされている」としたうえで、「憲法裁は、訴訟指揮権を積極的に行使し、早急に審理を終結することで、国民が見せてくれた信頼に応えなければならない」と明らかにした。 慶煕大法科大学院のチョン・テホ教授は「憲法裁が審理を十分行ったと判断すれば、被請求人代理人の集団辞任にかかわらず、弁論を終えて結論を下しても、違法的手続き進行とは言えない」と指摘した。

 憲法学者たちはすでに明らかになった事実だけでも、朴大統領の罷免を正当化するに足る重大な憲法・法律違反と見ざるをえないと主張した。特に漢陽大法科大学院のパン・スンジュ教授は「大統領が、セウォル号7時間を細かく説明できず、明確な証拠資料も提出できないならば、憲法裁としては大統領が生命権の保護義務をきちんと履行できず、重大な憲法違反行為をしたとの結論を下さざるを得ないだろう」と指摘した。

キム・ミンギョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/780806.html 韓国語原文入力:2017-01-31 23:22
訳H.J(2253字)

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