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特検、サムスン「経営権継承」捜査範囲を拡大…朴大統領を正照準

登録:2017-01-18 23:38 修正:2017-01-19 07:22
サムスン物産の合併は最初のボタン…
その後に継承プロセスの捜査へ 
「請託の必要はなかった」という 
サムスンの主張を崩すための方策 
朴大統領「現政権任期内に継承問題解決を望む」
朴槿恵大統領に賄賂を提供した疑いなどを受けているサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が18日午後、3時間40分にわたる令状実質審査を終え、ソウル瑞草洞のソウル中央地方裁判所を出て記者らの質問を受けている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 19日未明、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長に対する拘束令状が棄却されたが、パク・ヨンス特別検察官チームは朴槿惠(パク・クネ)大統領側に対するイ・ジェヨン副会長の400億ウォン台の支援が単純にサムスン物産と第一毛織の合併に関する対価ではなく、イ副会長の経営権継承全般を助ける見返りと見て、捜査範囲を拡大している。これは来月初めと予想される朴大統領対面調査に備えた緻密な準備作業であると同時に、イ・ジェヨン副会長の起訴に備えた作業だ。

 特検などによると、特検は「サムスン物産・第一毛織合併」問題だけでなく、公正取引法の改定を通じた中間金融持株会社導入の試み▽合併による新規循環出資の解消などに対する捜査に乗り出す予定だ。イ副会長の「経営権継承」プロセスの最初のボタンである合併部分から、導入を推進する中間金融持株会社問題まで、全てを捜査するということだ。該当する課題は、公正取引法改定など政府や国会レベルの支援が必ず必要なことだ。

 特検は、現在法改正が推進されている中間金融持株会社の導入問題に焦点を合わせる計画だ。中間金融持株会社は、一般持株会社が中間に金融持株会社を設立し、金融会社を保有できるようにする制度だ。こうなる場合、イ副会長はサムスン物産(一般持株)とサムスン生命(金融持株)を通じて循環出資を解消し、グループ全般を安定的に支配できるようになる。事実上サムスンの「イ・ジェヨン体制」構築が完成することになる。

 特検チームは、これをめぐり大統領府とサムスンがある種の取引をしたと見ている。これに先立ち、16日にイ・ギュチョル特検代弁人は「サムスン経営権継承の仕上げの部分に関しても、サムスン側の不正な請託があったと判断される」と述べている。中間金融持株会社の導入は公正取引委員会が数年前から推進してきたが、“金産分離の原則”を損なうという野党などの反対で可決されなかった。この制度を最も必要とする企業がサムスンという点から「サムスン特恵法」と呼ばれたりもした。

 特検はまた、サムスン物産の合併に伴う新規循環出資を解消するプロセスなども調査する計画だ。サムスンは昨年初め、合併によって厚くなった新規循環出資を解消するため、サムスン生命の公益財団を動員して3000億ウォン(約290億円)台のサムスン物産株式を購入させた。固有目的事業のために使われなければならない公益財団の資金が、総帥個人の経営権強化のために使われたということだ。これと関連して参与連帯は、相続および贈与税法上の財産の運用原則に反したとし、税務当局に贈与税の賦課を要求した。

 特検は、朴大統領とイ副会長がサムスン物産の合併だけでなく、経営権継承全般をめぐって政府レベルの法律・行政的なサポートと400億ウォン台の支援を交換したものと見ている。実際、2015年7月25日のイ副会長との単独面談を控え、朴大統領が準備した“お言葉資料”によると、「現行法令上、政府が手助けできる部分は制限的だが、企業に対する理解度が高いこの政権の任期内に継承問題が解決されることを希望」するという内容が含まれている。サムスンの経営権継承の完成のために朴槿恵政権が法律面で可能なサポートを最大限に与えるという意味だ。朴大統領はまた、「サムスンの危機は大韓民国の危機」、「サムスンの支配構造が早期に安定化し、サムスングループが未来に向けて邁進できることを願う」など、広い意味でサムスンの面倒を見るというメッセージを公開した。

 特検は「事の手順上、請託する必要がなかった」というサムスン側の主張を崩すためにも、合併以降のプロセスに対する捜査が必要とみている。サムスンはミル財団などに対する寄付金(2015年11月)とチェ氏側に対する支援(2015年8月)が、サムスン物産の合併(2015年7月)以降に行われたため、あえて請託する必要はなかったと主張している。

 特検はイ副会長らサムスンに対する捜査とは別に、賄賂の情況が提起された他の大手企業への捜査にも乗り出す予定だ。イ・ギュチョル特検代弁人は「イ・ジェヨン副会長に対する令状実質審査の結果と関係なく、他の大手企業への捜査を進める」と明らかにした。SK、CJ、ロッテなどは政府の支援が急務であり、財団寄付金の他に追加で資金を出した企業が対象になるものとみられる。実際、SKとCJはグループの総帥であるチェ・テウォン会長とイ・ジェヒョン会長の赦免のために大統領府と連絡を取った具体的な情況が明らかになり、ロッテは免税店特別許可の再獲得と検察捜査のもみ消しという懸案をめぐりチェ氏側に70億ウォンを渡した後、返金を受けている。

チェ・ヒョンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/779333.html 韓国語原文入力:2017-01-18 22:22
訳M.C(2243字)

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