バラク・オバマ米大統領と安倍晋三首相が口をそろえて「和解の力」を強調した。しかし、真の「和解」はなかった。「力」を押し出す日米同盟だけが騒がしかった。
75年前の日本は、ハワイの真珠湾基地を宣戦布告せずに奇襲攻撃した。航空母艦6隻から発進した戦闘機や爆撃機による激しい攻撃で米軍艦8隻が損傷し、または沈没した。米軍将兵2千人あまりが死亡し、千人あまりが負傷した。この時戦艦アリゾナ号が沈没し、兵士1177人が死亡した。最悪の被害だった。翌日米国は日本に宣戦布告をし、2次世界大戦に本格的に参入した。
以後、4年間熾烈な戦闘を繰り広げた敵対国が、戦争が終わった後には最強の同盟国となった。アリゾナ号を引き揚げて設立した記念館で、安倍首相は献花し黙祷した。「私たちをつないだのは寛容の心がもたらした和解の力」だと述べた。オバマ大統領も応えた。安倍首相の真珠湾訪問を「和解の力を見せた歴史的なジェスチャー」と応じた。
しかし、安倍首相は謝罪しなかった。犠牲者に対する哀悼を示しはしたが、米国への侵攻に対する謝罪はなかった。真珠湾とほぼ同時に日本が攻撃したフィリピンとグアム、マレーシア、シンガポール、香港については言及しなかった。日本のアジア太平洋戦争の出発点だった朝鮮半島と台湾の植民地支配に対しては言及する考えすらもしなかっただろう。和解はなかった。歴史に対する荒々しい攻撃であっただけだ。
そのような面で、安倍首相とオバマ大統領は双子だ。5月、オバマ大統領は米国が原爆を投下した広島を訪問した。日本人が経験した苦痛に哀悼の意を表した。「核のない世界」を作ろうと未来の平和を訴えた。しかし、彼は謝罪しなかった。反人道的破壊兵器で民間人を大量殺傷した米国の過去は、そのようにやり過ごされた。
彼らは、互いの痛ましい過去を葬り、希望に満ちた平和の未来を話すことにせわしない。安倍首相は「戦争の恐怖を決して繰り返してはならない」と誓った。オバマ大統領はその誓いの内容を具体的に説明した。「両国同盟がアジア太平洋地域における平和と礼儀(civility)の礎石」と。
過去を問わず、謝罪をしない理由だ。日米同盟は「相互防衛」同盟ではないためだ。日米同盟は米国や日本に限られたものではなく、アジア太平洋をその活動範囲にするということだ。米国や日本が直接攻撃を受ける場合に作動する「専守防衛」同盟ではなく、「平和と礼儀」のためなら何でもできるということだ。数日前、西太平洋で行われた状況はその予兆ではないだろうか。クリスマスの25日、西太平洋に進出した中国の遼寧号空母戦団を日本の潜水艦が追撃した。中国軍は対潜水艦ヘリコプターを出動させ、潜水艦を追撃した。日本は航空自衛隊F15J戦闘機を出動させた。米軍はこの状況を見守っていたことだろう。
日本の国家安全保障会議閣僚会議は22日、安保関連法の細部運営指針を確定した。新しい指針では、尖閣諸島(釣魚島)で中国を監視する米軍艦船保護の名分で自衛隊の武器使用が可能である。北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際にもこの指針が適用される。
安倍内閣は、いまや憲法改正で自衛隊を国軍にしようとしている。少なくとも中国共産党が内戦で勝利した1949年から米国が支援してきた「和解」の歴史だ。来年初めに就任するトランプ米大統領は、この「和解の力」を強化させるのではないか。朝鮮半島周辺は波立っている。
ソ・ジェジョン国際基督教大学 政治・国際関係学科教授