内外の批判にもかかわらず、韓国政府が国務会議で韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を議決し、朴槿恵(パク・クネ)大統領はこれを直ちに裁可した。野党と市民社会が強く反発しており、悪影響は避けられないものと見られる。
政府は22日午前8時に、ユ・イルホ経済副首相の主宰で国務会議を開き、「議案1712号」として上程されたGSOMIAを審議・議決した。大統領府は同日午後、「朴大統領が韓日軍事情報包括保護協定を承認した」と明らかにした。政府は国務会議の結果を説明するブリーフィング資料で、「北朝鮮の核・ミサイルの脅威は具体的に現存している深刻な状況で、優秀な情報写真を持っている日本との協力が必要だ」として、「今後、国防部など関係省庁では国民の合意と支持を得られるよう、引き続き努力する」と明らかにした。
これによって、ハン・ミング国防部長官と長嶺安政・駐韓日本大使が23日にソウルの国防部で署名式を終えて相手国に書面通知の手順を踏むと、GSOMIAは直ちに発効することになる。国防部が10月27日にGSOMIAの交渉再開方針を発表してから「実務交渉→仮署名→国務会議議決→署名→発効」まで、軍事作戦でも実施するかのようにわずか27日間で押し進めたということだ。
野党は「国政運営の資格もない大統領による拙速・売国交渉」として、強く反発した。共に民主党のキ・ドンミン院内広報担当は同日の懸案ブリーフィングで「GSOMIAは国民が認めない屈辱的な売国交渉」だとし、「この協定を主導し同調した全ての責任者に相応の責任を問う」と強調した。
朴智元(パク・チウォン)国民の党非常対策委員長兼院内代表も同日、院内対策会議で「日本との関係において、安倍晋三政権が自衛隊を武装するのに、韓国が何の歴史的解決もなく協力するわけにはいかないという立場を、野党3党は共有している」としたうえで、「特に、大統領の弾劾・退陣を控えて、国民と合意することもなく、あれほど反対したにもかかわらず、一方的に推し進めるのは望ましくない」と指摘した。
キム・ジョンデ正義党院内広報担当は論評を通じて、「政府がGSOMIAをこのように緊迫して推進したのは、7月のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配置決定と何らかの関係があるという事実が続々と明らかになっている」としたうえで、「資格のない者が強行したGSOMIAが直面する運命は廃棄だけ」だと強調した。
これに先立ち、野党3党はGSOMIAを強行した主務長官である国防部長官の解任建議案を30日に発議することで意見の一致をみた。同日、国民の党と正義党は予定通り解任建議案を発議しようという見解を明らかにしたが、共に民主党側は「朴大統領を弾劾しようとしているのに、国防長官まで解任すれば、国民の不安感を増幅させる可能性もある」として留保的な態度を示した。ただ、キ・ドンミン広報担当は「解任建議案を推進する妥当性については、さらに党内部の意見を集約する必要があるが、野党3党が合意しただけに、民主党だけで決定できる問題ではない」として"野党3党の共同行動"の余地を残した。
独立有功者遺族会・韓国独立有功者協会など7つの市民団体は同日午前、国務会議が開かれた政府ソウル庁舎の正門前で記者会見を開き、朴大統領のGSOMIA裁可に反対して、「朴大統領はすべての国政から手を引き退陣せよ」と要求した。