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教科書国定化に執着する大統領府、足を抜く教育部…28日に検討本公開

登録:2016-11-27 23:10 修正:2016-11-28 06:50
教育部「来月までに意見集約し決定」 
大統領府、「国定化撤回はない」立場固守 
28日、現場検討本を公開予定
「国定化教科書反対青少年行動」に所属する中学・高校生たちが今月27日午後、ソウル光化門の東和免税店前で国定歴史教科書の撤回を求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権が強力な反対世論にもかかわらず28日に国定歴史教科書の公開を強行する。だが、教育部が事実上の国定化撤回の立場を明らかにしているうえに、朴槿恵大統領に対する弾劾手続きが進められており、大統領府の国政掌握力は急速に衰えざるをえず、国定教科書は撤回の手順を踏む可能性が大きいと見られる。イ・ジュンシク社会副首相兼教育部長官は28日午後1時20分、政府ソウル庁舎で対国民談話とともに歴史教科書の現場検討本(完成本に先立ち意見集約のために製作する試案形態教科書)を公開する予定だ。25日に公開された編纂基準によれば、国定教科書には1948年8月15日を「大韓民国政府樹立」ではなく「大韓民国樹立」と表現し、朴正煕政権の「セマウル運動」の意味を強調する内容などが盛り込まれるものと見られる。

 イ・ジュンシク副首相は、国定歴史教科書の公開を翌日に控えた27日、記者団に「(国定歴史教科書を)モデル学校に適用するなりして、国定と検定を併用する方法まで含めて多様な方案を検討している」として「当初は来年3月に学校現場に(国定教科書を)適用するという政策方向だったが、適用時期は現在は決まっていない」と話した。イ副首相は「ひとまず12月23日まで(国定教科書に対する)意見集約をしてみて、学校現場にどのように適用するかを決める」と話した。こうした立場は、来年3月に歴史教科書の国定化を強行するとした当初の立場から大きく後退したものだ。イ副首相は25日、国会教育文化体育観光委員会でも「28日に現場検討本を公開した後、現場に(国定教科書を)適用する方法を講じる」と述べて、事実上国定化の撤回を示唆したことがある。しかしこうした教育部の動きに対し、大統領府がブレーキをかけたことが分かった。大統領府は、キム・ヨンスン教育文化首席秘書官が26日にイ・ジュンシク副首相に会って、国定化推進方案を協議したと、同日明らかにした。大統領府関係者は「28日に現場検討本を公開した後、教育部が現場の多様な声を聞いて、これをどのように適用するか検討案を用意して大統領府に報告することにした」として「国定化の撤回は事実ではない。イ副首相とキム主席秘書官の面談でも撤回問題は議論していない」と話した。大統領府の立場は、歴史教科書国定化の方針は今後も維持するものの、教育部の検討案を見て再議論するということで、「国定化問題は教育部が一方的に決める事案ではない」という立場を教育部に伝えたものと見られる。

 イ副首相は同日の記者懇談会で「多様な方案を検討している」としつつも「現時点では歴史教科書国定化を撤回する可能性はない。撤回するなら悩む必要はないだろう」と話し、複雑な心境をのぞかせた。国定化をめぐる大統領府との軋轢説に対しては「大統領府と教育部が反目し、衝突して角を立てているという報道が出ているが事実ではない」と鎮火に努めた。

 朴大統領の国定化への意志は変わっていないと見られるが「朴槿恵-チェ・スンシルゲート」と国定化反対世論を考慮すれば、国定歴史教科書が定着できるかは不透明だ。さらに朴大統領に対する政界の弾劾手続きが可視化しており、特検捜査が秒読みに入った状況で、国定化の動力を再び確保することは容易ではないと見られる。教育部が来月23日に現場適用方案を最終決定すると明らかにしたのも、ひとまず時間を稼いだ後に政局の推移と世論の動向を見守って、国定化の撤回手順を踏むという意図と分析される。

キム・ギョンウク、チェ・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/772170.html 韓国語原文入力:2016-11-27 17:41
訳J.S(1653字)

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