日帝強制占領期(日本の植民地時代)に日本の軍需企業に強制動員された勤労挺身隊被害者らに、戦犯企業の不二越が賠償しなければならないという裁判所の判断が再び示された。
ソウル中央地裁民事19部(裁判長イ・ジョンミン)は23日、勤労挺身隊被害者のキム・オクスンさん(87)など5人が不二越に対して起こした損害賠償請求訴訟で「不二越は被害者たちに1億ウォン(約950万円)ずつ賠償せよ」と判決した。
キムさんらは日本が太平洋戦争などを繰り広げた1944年から1945年まで、12~15歳の幼さで勤労挺身隊として動員され、不二越で軍需品の製作や分類などの作業をした。彼らは昨年4月、不二越に精神的・肉体的損害に対する慰謝料を請求する訴訟を起こした。不二越側は「韓国ではなく、日本で裁判が行われるべきであり、1965年に韓日両国が結んだ韓日請求権協定により個人の損害賠償請求権は消滅した」と主張した。
ソウル地裁は不二越の主張をほとんど認めなかった。まず「日本国内には物的証拠がほとんどないうえに、被害者らは全員韓国に居住している」として、裁判管轄権は韓国の裁判所にあると明示した。さらに、「1965年の請求権協定の適用対象に反人道的不法行為と植民支配に直結した不法行為に対する個人の損害賠償請求権が含まれたと見ることはできない」として、個人の損害賠償請求権は消滅していないと指摘した。また、「韓国と日本の間で国交は正常化されたが、関連文書が公開されておらず、被害者らは個人請求権の行使を期待することが難しかった」として、請求権の行使時期を両国の国交が正常化された1965年と見なす不二越の主張も退けた。
ソウル地裁は、勤労挺身隊に志願して不二越に動員されたか否かによる慰謝料の差額を設けず、被害者らが請求した賠償額の1億ウォンを全額認めた。ソウル地裁は「不二越の加害行為は不法であり、被害者らの受けた苦痛が大きい」として、このように判断した。
これは勤労挺身隊被害者らに対する不二越の責任を認めた2度目の判決だ。2014年10月、ソウル中央地裁・民事47部(裁判長ホン・ドンギ)は、K氏(87)など勤労挺身隊被害者と遺族17人が不二越に対して起こした訴訟で、「不二越は被害者にそれぞれ8000万ウォン(約760万円)~1億ウォンを賠償せよ」と判決した。