大法院(最高裁判所)が「韓日請求権協定で個人請求権まで消滅していない」と判決を下してから2年が過ぎても、日本企業の賠償責任に対する判断を下さず、問題になっている。
16日、法曹界の話を総合すると、日帝(日本帝国主義)強制占領期の強制徴用被害者が日本の「戦犯」企業を相手に起こした3件の損害賠償請求訴訟が、大法院で審議が先延ばしになっている。故ヨ・ウンテク氏ら強制労働者4人と故イ・ビョンモク氏ら5人が、それぞれ新日鉄住金と三菱重工業を相手に起こした損害賠償請求訴訟の再上告審は、2年7カ月間、大法院で止まったままだ。ヤン・クムドク氏など勤労挺身隊被害者5人が三菱重工業を相手に起こした訴訟の上告審も大法院で審理中だ。
2012年5月、大法院1部(主審、キム・ヌンファン大法院判事)は「1965年の韓日請求権協定が締結されても個人の請求権は消滅しない」と強制徴用被害者が日本企業を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、被害者勝訴の判決を下した。その後、破棄差戻し審を担当したソウル高裁と釜山(プサン)高裁で、日本企業に被害者たちへ1億ウォンの賠償を命じる判決が出された。しかし日本企業が不服として再上告し、主審判事が指定された後も、長いもので1年9カ月間、判断が出されずにいる。大法院が判断を先送りにしている間、被害者は相次いで亡くなっている。
1億ウォンの賠償という知らせに喜んだヨ氏とともに訴訟を起こしたシン・チョンス氏は、大法院判決を待つ2013~2014年に亡くなった。三菱重工業を相手にした訴訟の場合、イ・ビョンモク氏など被害者5人がすべて亡くなっている。昨年4月には大韓弁護士協会が「韓日国交正常化50周年及び光復70周年を迎え早期の判決を求める」という意見書を裁判所に伝えた。
大法院が個人請求権を認めた4年前の判例を覆すのではないかという懸念もある。昨年12月、憲法裁判所が韓日請求権協定の条項は違憲審判の対象でないと判断したことで、こうした懸念はさらに高まっている。ジャン・ワンイク弁護士は「大法院の判例により日本企業らの賠償責任を認めた下級審の判決が出たが、大法院がむしろ最終責任を先送りしている」と批判した。これについて大法院関係者は「検討すべきことが多い。苦心して判決を下すだろう」と明らかにした。
韓国語原文入力:2016-03-17 03:58