登録 : 2016.11.23 00:28 修正 : 2016.11.23 06:02

理論社会学の学習室を運営するチョン・スナム教授

チョン・スナム教授(左)とキム・トクヨン教授=カン・ソンマン先任記者//ハンギョレ新聞社
 ソウル方背洞(パンベドン)のカフェ通りの、古びた商店の2階に学習室がある。10人ほどがセミナーを行えるスペースだ。保証金300万ウォン(約28万円)に月30万ウォン(約2万8千円)を払う。撤去を控えた建物であるため、安く手に入れられた。2014年9月にオープンしたこのスペースの主人公は、社会学科の大学院生と学部生たちだ。彼らはここで社会学理論を学ぶ。大学に高い学費を払いながら、どうして彼らは別途専攻授業を聴くのだろうか。理由が知りたかった。この学習室を運営している韓国学中央研究院研究教授のチョン・スナム氏(41)に15日、学習室で会った。学習室の講師であるドイツ・カッセル大学教授のキム・トクヨン氏(58)も同席した。

社会学科大学院には理論の授業がなく 
3年前、大学の外で勉強会を設ける 
キム・トクヨン教授、パク・ヨンド博士らが講義 

「大学は短期実績に追われ統計研究ばかり 
理論と経験の好循環の輪が壊れた 
韓国の社会理論家を輩出したい」

 この学習コミュニティの名前は「社会理論講座・ナビ(蝶)」だ。ここでは「理論社会学」の講義が行われる。社会学は西欧で生まれた学問だ。社会学理論の土台を築いたオーギュスト・コント、エミール・デュルケーム、マックス・ウェーバー、ゲオルク・ジンメルなどはいずれも欧州人だ。この学習室ではこれら古典社会学の理論家たちの思惟を深く勉強する。今はキム教授が2講座(ジンメルとニクラス・ルーマン)、パク・ヨンド博士が1講座(批判社会学)を進める。現在受講生は全部で20人あまりで、講座当たり30万ウォン(10週基準)を払う。

 学習室はチョン・スナム教授が個人資金で設けた。講座は学習室の入居1年前の2013年9月に最初の一歩を踏み出した。チョン教授は当時、韓国学中央研究院の韓国学大学院で博士号を取得し、ソウル大学で博士後課程に進んでいた。学位を終えた後なのでゆとりがあった。「今の韓国の大学の社会学科には理論社会学の教授がいません。大学院にも理論を体系的に教える講座がないのです。理論を深く勉強したかったんです」(チョン)。ドイツでウェーバーとジンメルを勉強したキム・トクヨン教授が適任者だと考え、交渉に当たった。最初の1年間は国立中央図書館のセミナー室などを転々とした。ドイツで博士号を取得したキム教授は、これまで理論社会学関連の翻訳書と著書を30冊出した。ここには古典社会学の代表作である『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(ウェーバー著)、『貨幣の哲学』(ジンメル著)も含まれる。

 「最初に提案を受けた時は断るつもりでした。最近の世の中で、誰が社会学理論を勉強しますか。6カ月ぐらいすればやめるだろう、そんな思いで始めました。ところが3年がたちましたね」(キム)

 疑問が湧く。大学院で理論を勉強することができないとは。「社会学科の大学院に入って理論を専攻すると言えば、教授が受け入れようとしません。入っても理論の代わりに統計中心の経験的研究に変える場合が多いです」(チョン教授)「韓国の社会学科の教授はみな米国の大学で韓国社会に対する経験的研究で学位を取得した人たちなんですよ」。簡単に言えば、理論を専攻した教授がいないので大学院に講座がないという話だ。

 その理由とは?統計数値を得られる経験研究を好む大学のためだと2人の教授は述べた。大学の評価でいい点を得るためには、名のある学術誌に論文を数多く発表しなければならない。経験研究を行う場合、統計数値のさまざまなバリエーションによって論文の量産が可能だが、理論研究は実績を出すのに時間がかかり、歓迎されないということだ。

 「教授たちはA4用紙10枚程度の論文を量産しています。これが知識人社会の最も大きな問題です。国家や企業に対して非常によく映るようにしているのでしょう。大学の中で知識生産の義務があるのですが、大きな大学もこの機能を果たそうとしません。国家と資本の隙間に寄生しようとばかりしています」(キム)「経験と理論が好循環しながら進まなければならないのに、最近の学生の書く文を見るとこのような連結の輪がありません」(チョン)

 今年施行された教育部のプライム事業も、基礎科学の居場所を狭めている。大学は産業オーダー型の人材育成を誘導するという名目で、人文、社会科学の定員を減らしている。「来年から高麗大学の世宗キャンパスは人文学部をなくし、グローバルビジネス学部に統合するそうです」(チョン)「一時は統合と呼び、今は融合と言っています。融合とはまやかしです。名前だけ変え続けて違うものが入ってくるでしょう。堅実な基礎学問が土台にならなければなりません」(キム)

 キム教授は最近、社会学の巨匠12人の理論体系に切り込んだ著書『社会の社会学ー韓国的社会学理論のための解釈学的オデッセイ』を出版した。社会学理論分野で旺盛な学術活動を行っているが、国内大学では講義をした経験がない。ドイツで博士号を取った後、帰国して一度だけ教授に挑戦した。母校の延世大学だった。失敗した後、それ以上は試みなかった。彼は冬にドイツのカッセル大学で講義をし、残り9カ月は韓国で著述に没頭する。チョン教授の学問的関心は、感情が社会的行為にどのような貢献をしているのかだ。彼は今年初め、共著『感情は社会をどう動かすのか』を出版し、評壇の注目を浴びた。

 学習室の未来は?「論文をしっかり書くための作文の勉強もし、翻訳能力を高めることも念頭に置いています。最終的にはここから韓国の社会理論家が生まれることです」(チョン)「研究共同体に進むことも考えています。一緒に韓国社会に対する経験研究ができるでしょう」(キム)

 一般人も受講できるか?「講義のレベルが高めで、しっかり勉強する方なので、ほとんどが途中で止めてしまいます」(チョン)

カン・ソンマン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-11-22 21:53
http://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/771507.html 訳M.C(2634字)

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