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「分断韓国にあるのは守旧・保守同盟のみ」

登録:2014-11-18 01:38 修正:2014-11-18 06:35
ペク・ナクチョン教授『創作と批評』掲載論文
ペク・ナクチョン ソウル大名誉教授//ハンギョレ新聞社

社会全般を掌握し、既得権に没頭
中道勢力を確保してこそ変革が可能
戦作権移管延期は情けない選択
改革的な人々もさらに精巧な分析が必要

「分断体制の守旧的既得権勢力は、相当数の真の保守主義者まで抱き込んだ。 守旧・保守同盟の他には、これといった陣営らしきものもなくなった。こうした分断された韓国特有の現実に対する科学的認識が要求される」

 ペク・ナクチョン ソウル大学名誉教授が今週発刊される季刊『創作と批評』2014年冬号で「大きな積功、大きな転換のために-2013年体制論以後」を発表した。 季刊誌論文としては異例の原稿用紙230枚に達する分量だ。

 今回の論文は彼が2年前に出した本『2013年体制作り』で提示した「2013年体制論」に対する自己反省と遠大な新構想を盛り込んで出した体制を越えたテーゼ論だ。 ペク教授はこの文で、現在の大混乱の構造的、歴史的原因と韓国社会の民主主義、民生と福祉、南北関係と平和指向に対する道を短期・中期・長期的課題に分けて探索した。

 特に韓国社会の“陣営論理”に対する接近を精巧に行うことを注文した。 彼は保守を理念上の“極右”と区別することを提案し、「守旧勢力の大多数は理念を超越して自身の既得権を守ることに没頭した人々」であるとし、「極右理念の信奉者は少数」と述べた。 ペク教授は「(守旧・保守連合の)政治的集結体であるセヌリ党」が、大統領、国会議員の過半数、官と軍部、検察と司法府、経済・マスコミ・宗教・法曹・学界など「社会の有利な高地をほとんど先行獲得している」と分析した。

 彼は「(私たちが持っているのは)あの強大な城砦に亀裂でも起こそうと国民が整えた陣地のいくつか」がすべてだと語った。 陣地さえもない大衆が、広場やSNSを通じて声を上げていることに対しても「野党があたかも自ら一つの陣営を備えているかのように自他の区分けをしようとすれば、国民のひんしゅくを買う」と野党にも矛先を向けた。

 これを克服する大きな転換のために、ペク教授は2009年に打ち出した「変革的中道主義」を改めて強調した。 「朝鮮半島の体制の根本的変化」を熟考する“変革”と、広範囲な中道勢力を確保する“中道主義”を結合しなければならないということだ。 彼は「近代世界体制の変革のための適応と克服という二重の課題を朝鮮半島次元で実現することが分断体制の克服作業であり、韓国社会での実践路線が変革的中道主義」だとした。

 題名の“積功”(功徳を積むこと)は“転換”という言葉と変わらない。今年4月に起きたセウォル号の惨事に対して、ペク教授は「相応の時に転換を成し遂げられない場合、国がどんな混乱と難境に陥るかを克明に見せた事件」と分析した。 韓国社会がそれなりに積み重ねてきた努力のために“民主化と自力”を備えたが、転換を成し遂げるにはまだ不足しているというのだ。

 政界から出ている改憲議論に対しても否定的な見解を明らかにした。 彼は「2016年の総選挙以後にきちんとした憲法改正をするという中期的目標を立てることが正道」とし、帝王的大統領を牽制するという名分で国会議員だけで推進する改憲ならば「既得権者たちの談合以上のものにもなりえない」と批判した。

 朴槿惠(パク・クネ)政権が戦時作戦統制権の移管をほとんど無期限に延期する新たな決定を下したことに対しては、「李明博政権より一層情けない選択をした」と批判した。 「軍事主権の回復が予定されていたのに、国会および国民の同意も得ずに一方的に翻意したことは、6・25戦争(朝鮮戦争)の渦中に李承晩(イ・スンマン)大統領が作戦統制権をまるごと米国に譲り渡したこと以上に深刻な主権譲渡行為」と批判した。

 いわゆる改革的人士や知識人が、社会的混乱を分析し原因を単純化していることに対しても批判した。「国家主義が諸悪の根源」と見たり、「総てのことを新自由主義のせいにする新自由主義節は観念的遊戯に陥る」と指摘した。 国家主義、新自由主義などが具体的にどんな作用をしているのか、完全な統一国家の不在とか、自由主義よりさらに古い封建的要素などとどう結合して作用しているかを、より精巧に練磨する必要がある。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/664955.html 韓国語原文入力:2014/11/18 00:17
訳J.S(1928字)

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