チェ・スンシル氏との関係を全面否認する大統領府のアン・ジョンボム政策調整首席の言葉が嘘である可能性を示す証拠が出た。
ハンギョレが28日、Kスポーツ財団のチョン・ヒョンシク前事務総長のスマートフォンに保存された記録を単独入手して分析した結果、アン首席は昨年12月27日から今年7月21日まで55回にわたりチョン前総長と携帯ショートメールでやり取りした。スマートフォンのスケジュール表と比較して見ると、直接会ったことも7回あることがわかった。
二人の出会いは、アン首席が時間と場所を決めてチョン前総長に知らせるケースが大半であった。7回のうち、プラザホテルが5回で最も多く、ロッテホテルと朝鮮(チョソン)ホテルが各1回ずつだ。アン首席は、チョン前総長が「新任理事長はどんな人か」と尋ねると「CRC運動機能回復センターのチョン・ドンチュン院長、010-9377-○○○○」と電話番号まで教えている。また、4月12日のショートメールを見ると、「先にショートメールで、経済首席に紹介されたKスポーツ事務総長だと送ってから電話すれば良いと思います」という内容もある。財団の仕事をサポートするために誰かを紹介したのだ。
これはアン首席がハンギョレの電話取材で数回にわたり「私がKスポーツ財団に電話をかけるようなことはない」と全面的に否定したこととは真っ向から反する。しかし、このような資料が「チェ・スンシルを全く知らない」というアン首席の主張を完全に退けるものではない。
チェ・スンシル氏がチョン前総長とやり取りしたショートメールも42回に至る。チェ氏が送ったショートメールを見ると「事務総長~私I 私がT 空港に行って来なきゃならないので4時ごろお会いすることになりそうです~外国からお客さんが来て」という内容などだが、韓国語の綴り間違いが目立つ。また、スマートフォンのスケジュール表に表示される面会の約束だけでも9回に上る。
チョン前総長はハンギョレとのインタビューで「チェ・スンシル会長が午前に指示を出すと、午後または翌日にアン首席がほぼ同じ内容を話した」と語った。そのため二人が財団の仕事を随時相談している仲だと受け取ったということだ。アン首席との最初の会合もチェ・スンシル氏が斡旋した。チョン前総長は「1月頃、チェ会長が『アン首席のところに行って一度挨拶しては。電話が来るでしょう』と言ったが、すると本当に数日後、アン首席からの電話を受けた』と話した。実際にショートメールの記録を見ると、1月25日午後「首席、電話を取れなくて恐れ入ります」とチョン前総長がショートメールを送り、その夜「1月26日(火)午後2時、プラザホテル5階のビジネスセンター(予約者名:金○○)です」とアン首席がショートメールを送っている。このような情況から見ると、アン首席とチェ・スンシル氏が知らない間柄だとは考えにくい。それでもアン首席は27日、ハンギョレの電話取材で「ハンギョレは私がチェ・スンシルを知っているかのように言うが、私はチェ・スンシルを本当に知らない。私がすべてを賭けて言うが私は本当に知らない。私が知っているわけがないだろう」と訴えた。チョン前総長も二人の関係が気になり、アン首席に「二人の間に交流があるのでしょう?」と聞いたことがあるが、アン首席は「誰のことか知らない」と答えたという。
ならば、真実は何だろうか。アン首席の言葉が正しい可能性もある。そうであるならば、誰か二人をつなぐ第3者がいるということであり、それは朴槿恵(パク・クネ)大統領に他ならない。少なくとも「門番3人組」が大統領の権限を委任され、二人の間で中継の役割を担ったのだ。このような場合、アン首席は第3者収賄や職権乱用の容疑を免れるか、あるいは責任の程度が軽くなる。包括的な統治行為を行う大統領の指示事項であるためだ。しかし、その責任は丸ごと大統領に移る。
反対に、アン首席が「チェ・スンシル氏を知っている」と認めれば、大統領の荷は軽くなる。代わりに、アン首席がすべての責任をかぶることになる。自分を生かすためには大統領を売らなければならず、大統領を生かすには自分が死ななければならない。「アン・ジョンボムのジレンマ」だ。