9日の協約式を前に一方的な片付け
遺族・市民 20人余り徹夜で阻止
「真実が明らかになっていないのに、どうしてそんなに記憶を消したがるんですか」
セウォル号の惨事の痛みがそっくりそのまま込められた京畿道安山の檀園高の犠牲者生徒たちの教室(「記憶教室」)の存置問題に関する「社会的協約式」を控え、学校側が奇襲的に引越業者を呼び「記憶教室」に対する事実上の強制撤去を試み、物議をかもしている。
8日、4・16家族協議会などの話によると、檀園高は5日夜から引越業者と工事会社を呼び、セウォル号事故当時に2年生が使っていた10の教室に対する強制整理を試みた。これらの教室には本や椅子はもちろん、教科書、日記帳、ノート、かばんなどの犠牲になった生徒たちの遺品をはじめ、全国各地から訪ねてきた国民の追慕記録物が残されている。
これに先立ち京畿道、京畿道議会、京畿道教育庁、4・16家族協議会、安山市、安山教育支援庁、檀園高の7機関・団体の代表は先月27日、「記憶教室」の移転など檀園高校教育正常化方案について合意し、9日に協約式を行なうことにした。合意内容は協約式以後、教室の物品を安山教育支援庁の講堂に原型そのまま臨時に移した後、「4・16教育院」が建設されれば永久保存するというものだ。 ただし、教室移転の時期と方法、手続きなどはまだ公開されておらず、詳細事項を調律中にある。
遺族らは学校側が社会的合意を破って強制撤去を試みたと強く反発した。 遺族と市民20人余りは、5日は徹夜で教室を守り、6日午前、引越業者の車両が学校に進入すると強く抗議した。 教室強制整理は取り止めとなったが、この過程で檀園高の行政室長は警察に通報するとともに、遺族に向かって人差し指を突き付けながら「他人の学校へ来て工事を邪魔するのか。工事遅延賠償を請求する」とまで発言した。 また、同校教務部長は教師全員に「5月6日~8日に教室を片付ける。遺族は9日に共同合意文に署名をしてから教室を片付けようと言うが、(それでは) 16日 (短期休校が終って学校が始まる日)までに工事を進められない(終わらない)。署名前に教室整理をするから非常勤務組を組む」という文字メッセージを送ったことが確認された。
4・16犠牲者の兄弟姉妹と檀園高卒業生、4・16大学生連帯(準)などは8日、檀園高前で記者会見を開き、「正しい教育を強調する教育当局が、懸命に惨事を覆ってしまおうとする意図が何なのか、疑問を持たざるを得ない」と強く批判した。一部の遺族は9日午前、緊急の集まりをもって檀園高を抗議訪問する予定であり、物理的衝突も憂慮される。
明知大のキム・イクハン記録情報大学院教授は「歴史の現場であると同時に惨事の記録物である教室の移転を、一体どうして引越業者に任せることができるのか。社会的合意の日程に合わせ、専門家たちによって完全な形で移転・保存されるようにすべきだ」と話した。
韓国語原文入力:2016-05-08 15:33