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BBC記者が北朝鮮当局に追放された理由

登録:2016-05-09 22:33 修正:2016-05-10 07:12
4月30日「太っていて予測できない息子の金正恩」 
5月2日「子供病院の医師たちは本物には見えない」
先月29日に訪朝し取材中だった英BBC放送のルパート・ウィングフィールドヘイズ記者が今月4日、平壌の金日成大学で取材しているところを北朝鮮関係者に制止されている= BBCホームページからキャプチャー/聯合ニュース

 北朝鮮は9日、北朝鮮の現実を歪曲、捏造して報道したとの理由で、英BBC放送の記者を追放したと発表したが、具体的にどのような内容が問題にされたのか明らかにしていない。先月29日に訪朝したルパート・ウィングフィールドヘイズ記者が平壌(ピョンヤン)発で報道した内容の一部が、金正恩(キムジョンウン)労働党第1書記を否定的に描写し、北朝鮮当局を不快にさせたものと見られる。

 オ・リョンイル朝鮮平和擁護全国民族委員会委員長はこの日、平壌で記者会見を開き、BBCのルパート・ウィングフィールドヘイズ記者が「我が共和国の法秩序を違反し、文化風習を非難するなど、ジャーナリストとしてはあるまじく、わが国の現実を歪曲、捏造して謀略に一貫した報道を行った」と述べたと海外メディアが報じた。平壌現地の他のBCC記者は「ウイングフィールドヘイズの報道内容に対する意見の不一致との懸念があった」としながら、ノーベル賞受賞者たちと共に訪れた平壌の子供病院の現状が、本当の姿なのかについて疑問を提起したのも含まれると話した。

 ウィングフィールドヘイズ記者は今月2日の平壌の現地報道で、彼を密着監視する警備員が金第1書記を「偉大な最高司令官」と呼んだとして、「彼が最高司令官という称号を得るような何をしたのかは正確に言えない」と報じた。さらに「官営テレビによると、若い統治者は大きな椅子に座り、山の中腹で実施される砲射撃を見守ることに、多くの時間を割いているようだ」と付け加えた。また、平壌の子供病院の現状を「病院は、実質的にほぼ空っぽだった。ある部屋では子供たちが大人の運動器具で運動をしていた。その子供たちも当惑したし、私たちもそうだった」と伝え、リヒテンシュタインのアルフレッド王子が「この人たちは本物の医師に見えない。(平壌に一緒に行った)ノーベル賞受賞者が話ができる本物の医師に会いたい」と通訳に話した内容も紹介した。彼はどこに行っても「本当の」人には見えないと話した。

 これに先立ち、ウイングフィールドヘイズ記者は先月30日、「指導者の金正日(<キムジョンイル>総書記)が死亡した後、太っていて予測できない息子の金正恩(第1書記)が、彼の後を継いだ」と報じた。

北朝鮮が「(北朝鮮の)現実を歪曲捏造した」との理由で6日に抑留した後、9日に追放した英BBC放送のルパート・ウィングフィールドヘイズ記者(中央)が同日午後、中国の北京首都国際空港に到着した後、取材陣に囲まれ質問を受けている=北京/ロイター、連合ニュース

 米CNN放送は9日、平壌で開かれた記者会見で、別のBBC記者が「北朝鮮当局が同意できない内容を報道した記者を勾留し処罰することを、全世界がどういうふうに見ると思うか」と尋ねると、北朝鮮の官吏は無言で会場を後にしたと報じた。

 ウィングフィールドヘイズ記者は北朝鮮党大会とは関係なく、先月29日、国際平和財団(IPF)の諮問委員会委員長であるリヒテンシュタイン公国の王子とノーベル賞受賞者3人が学術交流のために訪朝した際に同行した。

 日本のマスコミは、北朝鮮が党大会に海外メディアを呼んで、本大会の取材は制限したまま、金第1書記の功績を宣伝する施設で記者を「巡回させている」として、不満を覗かせた。日本経済新聞は8日、平壌発の記事で、「朝鮮労働党大会は2日目を迎えたが、北朝鮮当局は外国報道陣に党大会そのものの取材を認めていない。大病院や科学技術施設などを選んで公開し、国際社会の経済制裁を前に「自主」の姿勢や市民の結束を誇示している」と指摘した。

 実際に北朝鮮が外国メディアに公開した施設を見ると、北朝鮮が外部に伝えたいイメージが窺える。北朝鮮は5日に平壌の高層ビルが密集した未来科学者通り、6日には平壌326電線工場、7日に平壌産院(産婦人科)、科学技術殿堂などを外国記者団に公開した。特に科学技術殿堂には、北朝鮮が2012年12月に打ち上げた銀河3号の巨大な模型が展示されていたと同紙は伝えた。 日本経済新聞は引き続き(この施設は)「核開発に突き進む北朝鮮で、金第1書記がとりわけ力を注ぐ『科学技術』の発展の象徴となっている核開発を進めている北朝鮮で、金第1書記が力を注ぎ込んでいる科学技術の発展の象徴となっている」と指摘した。

ファン・サンチョル記者、東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-05-09 19:49

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/743056.html 訳H.J

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