本文に移動

[ニュース分析]<金正恩時代の北朝鮮3>経済再建の青写真

登録:2016-05-09 00:17 修正:2016-05-09 07:48
経済発展5カ年戦略・開発区・「我々式の管理」の3点セットを提示
7日に平壌4・25文化会館で行われた労働党第7回大会の2日目の行事で、チョ・ヨンウォン党組織指導部副部長が金正恩第1書記の隣で跪いて報告する場面が朝鮮中央テレビに映された=聯合ニュース

 金正恩(キムジョンウン)北朝鮮労働党第1書記が、6日と7日の2日間行われた朝鮮労働党第7回大会、党中央委員会事業総括報告で、「経済強国の建設は今の時期、わが党と国家が総力を集中しなければならない基本戦線」とし、2012年の執権以降4年間模索してきた「金正恩式の経済改革・開放政策」を公式宣言した。

中期経済計画「5カ年戦略」 

今後すべての経済政策の根幹となる 
目標数値を公表せず「現実性」に疑問 

対外開放戦略「経済開発区」 

2013年に公表してから再び活性化に言及 
全21カ所のうち、8カ所が鴨緑江と豆満江に集中 

経済改革戦略「我々式の管理法」 

うわさは流れていたが今回公式に宣言 
市場活動の合法化・インセンティブなどが骨子

 経済分野の事業総括のキーワードは3つある。第一に、中期経済計画として「国家経済発展5カ年戦略」(5カ年戦略)の発表、第二に、金正恩式の経済開放戦略として「経済開発区」の活性化、第三に 「金正恩式の経済改革(市場化)戦略」としての「我々式の経済管理方法」の公式化だ。2013年に公式に採用し、実践してきた経済開発区の活性化を除けば、内外の専門家たちの予想を超える政策基調の公式化だ。ただし、当面の現実性よりも、次の党大会まで堅持すべき経済戦略の基調を明らかにしたことに意味がある。 4回目の核実験(1月6日)とそれに伴う国連安全保障理事会(安保理)決議2270号をはじめとする国際社会の強力な制裁と圧迫によって、北朝鮮の経済発展に必要な外部投資の誘致と貿易の拡大などが事実上不可能になったからだ。

 経済分野では「5カ年戦略」(2016〜2020年)が最も重要である。今後5年間のすべての経済政策は、この戦略の基調と計画に沿って進められ、執行されることになるからだ。北朝鮮は、歴代党大会で人民経済発展第1次5カ年計画(第3回大会)、人民経済発展7カ年計画(第4回大会)、人民経済発展6カ年計画(第5回大会)、社会主義経済建設10大展望目標(第6回大会)などを発表した。金第1書記は、中期経済計画の具体性を示す分野別の目標数値を公表していない。しかし、「5カ年戦略の実行期間は党が提示した電力生産目標を必ず占領しなければならない」という表現もあり、見極める必要がある。

 金第1書記は、「対外経済関係を拡大発展させなければならない」として「経済開発区に有利な投資環境と条件を保障してその運営を活性化し、観光に積極的に取り組むべきだ」と述べた。 「経済開発区」は、金第1書記が2013年3月31日に労働党中央委全体会議で指示して以来、今まで21カ所に設置された。このうち8カ所が鴨緑江(アムノクカン)と豆満江(トゥマンガン)の国境地帯に設置・運営されている。経済開発区は朝中の国境地域をはじめとする地方分散型の「金正恩式の対外経済開放」の核心手段だ。

 金第1書記が「全面的に確立すべき」と強調した「我々式の経済管理方法」は、特に注意を要する。「我々式の経済管理方法」は、金第1書記が「現実発展の要求に合わせて我々式の経済管理方法を確立することについて」という題名で、2014年5月30日の「党・国家・軍機関の責任幹部とした談話」(5・30談話)を意味するものと見られる。これまでうわさだけが流れており、公式的に確認されていなかったが、金第1書記が党大会事業総括という最高位の公式性を持つ演説を通じて、直接外部に公表した事実に注目する必要がある。北朝鮮はこれを「社会主義企業責任管理制」と呼ぶが、「市場」と関連した各種の違法や半合法活動の合法化など、工場や農場などでの経済現場の自律性とインセンティブの強化を主な内容としている。外部の専門家たちは、これを「金正恩式の市場化」「金正恩式の経済改革の初期措置」として注目してきた。

 最近、北朝鮮の経済を引っ張ってきた2大軸が「朝中貿易」と「市場化」である点から、このような経済戦略と政策基調は、既存路線の拡大・強化に近い。また、金第1書記は、すべての経済戦略と基調の大前提として「経済・核武力建設の並進路線」を提示しており、本格的な経済改革・開放へと向かうには根本的な限界がある。金第1書記は、「5カ年戦略の実行期間(中は)党の新しい並進路線を堅持」すべきだと強調した。並進路線がある限り、北朝鮮に対する国際社会の強力な制裁は続くものが予想されており、このような状況では、改革・開放に必要な外部資源の流入と対外貿易の活性化は基本的に制約を受けざるを得ない。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-05-08 19:31

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/742896.html 訳H.J

関連記事