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労働党規約に「核保有国」明示を予告…核めぐる対立の長期化は必至

登録:2016-05-09 23:52 修正:2016-05-10 07:08
労働党大会「決定書」を発表
金正恩労働党第1書記が9日、党大会での参加者の発言を聞いている。北朝鮮当局は、党大会4日目のこの日になってようやく海外メディアの記者団の一部に党大会会場の取材を許可した=AP・聯合ニュース

憲法への「核保有国」明記に続き 
決定書でも「経済・核並進路線の強化」 

北朝鮮「核・ミサイル利害集団」を拡大 
金正恩第1書記の核リーダーシップ自律性が低下

韓米日「先に核を放棄すべき」と反発

 金正恩(キムジョンウン)労働党第1書記が、第7回党大会3日目の8日の会議の「事業総和(総括)結論」で提示した指針に従い、「経済建設と核武力建設を並進させるための戦略的路線を恒久的に堅持し、自衛的な核武力をさらに強化していく」と明示した「第7回党大会決定書」(決定書)全文が9日、労働新聞に掲載された。ただし、決定書は「経済・核並進路線」(並進路線)の強化に「帝国主義の核の脅威と専横が続く限り」という但し書きを添えた。決定書は、「核兵器の小型化・多種化の実現」も宣言した。また、決定書は、金第1書記の指示に基づき「実用衛星をより多く制作・発射しなければならない」と明示することで、国連安全保障理事会が禁止した「弾道ミサイル技術を活用した発射」を持続・拡大する意志を強調した。並進路線の持続・強化・拡大の方針を党大会で正式決定したのだ。

 韓国政府はこの日、統一部・国防部報道官のブリーフィングで「決して北朝鮮を核保有国として認められないというのが、私たち(韓国)と国際社会の一致した立場」として、「北朝鮮が核を放棄するまで、私たちと国際社会の強力な制裁と圧迫は続くだろう」と明らかにした。

 米国政府は、金第1書記の事業総括報告の内容が公開された直後に行ったハンギョレの問いに対し、8日(現地時間)、国務省東アジア太平洋局のオーリ・アブラモヴィッツ報道官の名義で「私たち(米国)は北朝鮮がこれまで(9・19共同氏名などを介して)明らかにした約束と、国際的な義務を満たすために必要な具体的な措置をとることに焦点を合わせることを求める」とした上で、「国連安保理決議(2270号など)は、北朝鮮が核と弾道ミサイル関連のすべての活動を停止し、これを完全かつ検証可能で不可逆的な方法で放棄することを要求している」と明らかにした。

 日本政府の報道官、菅義偉・官房長官は9日の定例記者会見で、「核保有し続ける意思を表明したのは断じて受け入れられない」と明らかにした。ただし菅長官は「金正恩労働党第1書記」という公式呼称を使用して、「拉致、核、ミサイルを包括的に一括して解決するという中、『対話と圧力』、『行動対行動』の原則は全く変わらない」と強調し、朝日対話の余地を残した。北朝鮮の軍事当局会談の提案に対し、「全く真摯さのない宣伝扇動」(9日、統一部報道官)と反論した朴槿恵(パククネ)政権とは異なる反応だ。

 中国政府は、直接的な論評を控えた。陸慷・中国外交部報道官はこの日の定例ブリーフィングで、「(朝鮮)半島の核問題に対する私たち(中国)の立場には如何なる変化もない。私たちは、半島の非核化、半島の平和安定の守護、対話・交渉を通じた問題解決が各国の利益と北東アジアの平和安定に合致すると考える」とし、「すべての国が時代の潮流に合致する努力を傾けることを望む」と述べた。

 北朝鮮の並進路線と「先に核を放棄すべき」という韓米日の要求が対立するこうした状況は、目新しいものではない。北朝鮮の4回目の核実験(1月6日)と国連安保理の決議2270号の採択など、今年1月から4月までの朝鮮半島情勢が続いているものであり、質的な変化とは言えない。ただし、核をめぐる対立の長期膠着の可能性がさらに高くなった側面はある。

 今回の党大会を契機に「金正恩リーダーシップ」と「並進路線」との一体化が制度的に強化されたことは、注目すべき部分だ。

 北朝鮮はすでに憲法の序文(2012年4月改訂)に「核保有国」と明記しているが、金第1書記の事業総括と党大会決定書を根拠に、党大会期間に改正される予定の労働党規約にも「核保有国」と明示する可能性が高いと見られている。今回の党大会執行部に前進配置されたパク・ドチュン(軍需担当書記)、チュ・ギュチャン(党機械工業部長)、チョ・チュンリョン(第2経済委員長)など、核・ミサイル開発の責任者たちと核・ロケット開発関連科学技術者の地位の強化、各種ミサイルの発射・制御を担当する戦略軍の存在などは、すでに北朝鮮内部に核・ミサイルなど大量破壊兵器(WMD)を「存在の根拠」とする、広範な利益集団が形成され、拡大していることを示している。

 これは、「朝鮮半島の非核化は金日成(キムイルソン)主席の遺訓」という論理を駆使してきた金正日(キムジョンイル)総書記とは異なり、金第1書記が「核の放棄」に政策を転換できるリーダーシップの自律性の低下を意味するもので、問題視されている。

イ・ジェフン記者、東京、北京/キル・ユンヒョン、キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-05-09 19:49

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/743055.html 訳H.J

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