米国を名指ししなかったが「敵対国家とも…」
「金正恩体制の正統性認定」など要求
即効性より長期的対外戦略次元
米国の要求には進展した言及なく
核廃棄の代わりに「相互核軍縮」明らかに
「非可逆的核放棄」を主張する米の立場と乖離
金正恩(キムジョンウン)北朝鮮労働党第1書記が米国との関係改善の可能性を表わし、バラク・オバマ政権になり7年以上にわたり梗塞している朝米関係の糸口が見つかるか関心が集まっている。
金正恩第1書記は6日から2日間の日程で行われた第7回党大会総括報告で「たとえこれまでは我々と敵対関係にあったとしても、わが国の自主権を尊重し我々と友好的に対する国々とは関係を改善し正常化していく」と明らかにした。 金第1書記は「敵対関係」にある国家として具体的に米国を名指しはしなかった。 だが、これまで北朝鮮が米国に敵視政策の放棄を執拗に要求してきたことから、対米メッセージであることは明らかだ。 関係改善の条件として自主権に言及した点も注目される。 言い換えれば、北朝鮮の体制を崩壊させようとせず、狭義には「金正恩体制」の正統性を認めてほしいという意味であるためだ。 これは米国との関係改善に必要な最も核心的な前提を投じたものと見ることができる。
金第1書記の発言は対米関係改善のため、直ちに具体的な何らかの行動を取るというよりは、長期的な対外戦略路線次元もものと見られる。 関係改善のためにはギブ・アンド・テイクが必要だが、米国に対する要求事項ばかりが今回の報告の多くの部分を占めているためだ。 例えば、金第1書記は、朝鮮敵視政策の撤回▽停戦協定の平和協定転換▽米軍撤収▽韓米連合軍事訓練中断を米国に要求している。
これに比べて米国が北朝鮮に要求する事項については、大きく進展した言及はほとんど見られない。 まず、非核化問題と関連して金第1書記は「世界の非核化を実現するために努力する」と明らかにした。 これは韓米の「北朝鮮非核化」要求に対抗して北朝鮮が掲げたことで、米国と同等な核保有国として核軍縮の努力をするという意味だ。 検証可能で非可逆的な核放棄を要求している米国の立場とは大きく乖離する。 また、先に核兵器を使用しないとか、核技術と武器の移転や伝播をしないという言及は目新しい内容ではない。 米国が金第1書記の発言を前向きに評価する可能性が低いと見る理由だ。
朝米接触の可能性
米「探索的対話」を名分に受け入れる可能性
6カ国協議の再開は「真正性」が確認される必要
ただし、北朝鮮が金第1書記の総括報告を米国に具体的に説明したいとし接触を提案し、米国政府が「探索的対話」を名分に受け入れる可能性はある。 米国政府内でも今年に入り高まってきた朝鮮半島の緊張をコントロールする必要性は感じているためだ。 北朝鮮の核およびミサイル技術の高度化についても米国政府内で憂慮の声が高まっている。
しかし、6カ国協議の再開は朝米間の探索的対話により両者がどこまで接点を見いだせるかにかかっている。 米国は6カ国協議再開のためには非核化に対する北朝鮮の真正性ある行動が優先されなければならず、非核化の前提なしには平和協定の議論もありえないと釘を刺してきたためだ。