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[インタビュー]健康保険賦課体系の改編を聞き入れなかった朴槿恵政権

登録:2016-05-03 14:20 修正:2016-05-04 12:14
キム・ジョンデ前健保公団理事長

「松坡区の母娘の3人は月5万ウォン出していたのに
私は数千万ウォンの年金がありながら一銭も出さない
これがまともな健保料体系か」
TK出身のキム前理事長の「理由のある変心」

キム・ジョンデ前国民健康保険公団理事長//ハンギョレ新聞社

 「大邱・慶尚北道(TK) 出身で生涯にわたりセヌリ党と近かった私が、『共に民主党』に移ると言うので、大邱(テグ)にいる友人がびっくりしました。 李明博(イミョンバク)・朴槿恵(パククネ)政権で3年間健康保険公団理事長を務め、所得が多ければ多く出し、少なければそれだけ少なく出す健康保険料賦課体系を作ろうとしたけど、政府と与党が動こうとしませんでした。 政権交替ができて初めて、賦課体系改編を中心に健康保険制度に対する改革が可能になると考え、移ることにしました」

 25日午後、ソウル市内で会ったキム・ジョンデ前国民健康保険公団理事長は先月8日、「共に民主党」に入党した。 現在、保健医療分野政策委員を務めている。 キム前理事長は保健福祉部公務員出身で、1999年辞職後、2006年セヌリ党の前身であるハンナラ党で院内代表諮問委員長、李明博・朴槿恵政権(2011~2014年)では健康保険公団理事長を歴任した。

 キム前理事長は「公団理事長時代に健保料賦課体系改善案をほとんど完成しておいたけれども、現政府とセヌリ党が時間を引き延ばすばかりで推進しようとしなかった」として、「中国の古典『礼記』に見れば、王に3回建議しても聞かなければ去りなさいという話があるが、朴槿恵政権に3回ではなく3年もの間話したのに聞かなかった」と言った。

 健保料賦課体系改善案は勤労所得外の別途所得がある職場加入者と多くの所得があるのに被扶養者として無賃乗車している人々には保険料をもっと出させて、所得はほとんどないのに借り家を財産と見做されて多くの保険料を出している地域加入者の負担を減らそうという内容だ。

 保健福祉部は去年1月、内部で構成した賦課体系改善企画団の作成した改善案を発表しようとしたが、発表前日にこれを取り消し、その後世論と国民の批判に直面すると、今度は与党と政府が協議体を作って推進すると言い、結局それさえも現在中断状態にある。保険料をもっと出さなければならなくなる高所得層の顔色を伺った挙句に、政府与党がこれを放棄したものという分析が出ている。

 キム前理事長は1990年代後半、職場と地域に分けられていた医療保険を健康保険に統合する方案が推進されると「職場と地域の健保料賦課方式が互いに異なる状態では時期尚早」として強く反対し、結局公職を去った。 当時進歩的性向の市民団体は彼を「組合主義者」と批判したが、彼は「今でも賦課体系改善なしには健康保険の持続は難しいと考えている」と強調した。

 キム前理事長は退任直前の2014年11月初め、退任後自身の保険料がどう変わるかを公開して話題にもなった。キム前理事長は「(生活苦で心中した)“松坡(ソンパ)区の3人の母娘”は所得がほとんどないのに借り家が財産と見做されて月に 5万ウォン余りも出さなければならなかったが、私は5億ウォンを超える財産と年間数千万ウォンの年金所得があるのに職場加入者である妻の被扶養者に登録されれば保険料を一銭も出さなくていいことになる」と明らかにした。さらに 「“松坡区の3人の母娘”のような境遇にある低所得層世帯が多い。そのため、年に約6000万件にのぼる保険料請願が健康保険公団に殺到している」として「次の国会ではこんな矛盾した賦課体系を必ず改善して初めて、国民に信頼される健保になることができる。また、それを土台にヨーロッパの先進福祉国家のように保障性を強化して 『病気になっても病院費の心配をしないでいい国』を作ることができる」と強調した。

 朴槿恵大統領が必ず可決してほしいと言っているサービス産業発展基本法についても、キム前理事長は「この法の趣旨は医療を経済省庁傘下に置いて、金儲けの手段にしていこうとするものだ。健康保険の根幹を害することだ」と批判した。 そして「サービス産業発展基本法が可決されれば政府の言う雇用創出になるというのはナンセンスであり、むしろ公共財である医療を商業化して、健康保険の根幹までも揺るがすおそれがある」と指摘した。

キム・ヤンジュン医療専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-04-27 19:43

https://www.hani.co.kr/arti/society/health/741561.html 訳A.K

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