登録 : 2015.10.07 00:43 修正 : 2015.10.07 09:05

 秋夕(中秋節)に親戚や友人たちと久しぶりに会った。 歳を取った親戚はもちろん、40代中盤に入ろうとする友人たちも健康問題が話題になった。 高血圧や糖尿のような生活習慣病をかかえて「ずっと薬を飲んでいる」と言う親戚や友人もいたし、ビールを飲み過ぎて通風にかかり焼酒だけにしているという友人もいた。 酒を減らすようにと言うと彼は、医者がビールは飲むなと言ったからと、酒を喉へ注ぎ込んでいた。 皮膚癌にかかったが民間医療保険に加入していたので保険金をたっぷり受け取ったという人もいた。 しばらく前に父親が癌の手術を受けたが、「4大重症疾患(癌・心臓血管疾患・脳血管疾患・稀少難治性疾患)100%保障」は口先だけで、実際には病院代が1千万ウォン(1円=約10ウォン)近くかかったという友人もいた。 ソウルの大きな大学病院に入院するにはどうすれば良いのかと尋ねる友人もいた。 私に向かって、医者だから病気の心配がなくていいねとも言った。

 友人たちとの酒席の結論は、普段運動など健康な生活も心がけるべきだが、老後の備えのために民間医療保険の一つくらいは加入しておくべきだということだった。 実際、皆が加入していた。 ある友人が「どんな保険が良いか」と私に訊くので「もちろん国民健康保険だ」と答えたら皆が笑った。 「医療専門記者のくせに肝心な所は抜けているんだね」とひやかされた。仕方ないので民間保険の支給率という難しい用語まで挙げて説明した。 保健福祉分野の市民団体で活動している現職医師のキム・ジョンミョン先生が書いた『医療保険、絶対に加入するな』という本によれば、民間医療保険の支給率は40%くらいだ。 100万ウォンの保険料を払えば何かの疾病にかかった時、保険金として40万ウォンを受け取るという話である。 これに較べて健康保険の支給率は国民健康保険公団の発表によれば、所得水準によって若干異なりはするが、所得水準別に5つの集団に分類した場合、所得上位 20%に属する人は 2014年基準で保険料に対して給付は110%、所得下位20%は保険料に対して510%の給付を受けられる。 よく知られているように、健康保険財政には税金から一定程度が補填され、さらに職場加入者の場合は会社が半分を負担するので、払った保険料より多く返してもらう仕組みになっていると、酒席に合わないほどに真剣に説明した。

 しかし、払った保険料より多く返ってくるという話に多少うなずきはしながらも、みな依然として健康保険だけでは不十分だという立場だった。 この不満足を否定することは難しかった。 出した保険料よりは多く返ってくるとはいえ、健康保険だけでは足りないのもまた事実だからだ。 何かの疾病治療に1千万ウォンかかるとすれば、現在健康保険に加入していても約380万ウォンの病院代を自分で支払わなければならない。 仮に年に1億ウォンかかる重病に罹って、何年も治療を続けなければならないとしたら、毎年3800万ウォンを何年間か支払わなくてはならず、医療費負担のために住宅保証金を取り崩すとか住宅を売らなければならない(訳注:住宅保証金とは、家賃を月々払わずまとまった金額を家主に預けて出る時に全額受け取るシステムで、それを病院費に当ててしまえば、月々家賃を払うことになる)。 それで「泣く泣く」民間医療保険に加入しているのが現実だ。

 健康保険公団には約17兆ウォン(約1.7兆円)の累積黒字が貯まっており、歴代最大の黒字を記録しているという報道にも関心が高かった。 今すぐ保険料を引き下げるなり、あるいは病院代を減らすべきじゃないか、という声も出た。 市民団体はこのうちの一部が4大重症疾患の保障性強化に使われるとしても、それでも公共病院を拡充するとか子供たちは病院代の心配をせずに治療を受けられるようにできる十分な金額だと主張する。

キム・ヤンジョン医療専門記者 //ハンギョレ新聞社

 絶好の機会だ。 現在貯まっている黒字17兆ウォンをうまく活用すれば、国民の健康保険に対する不満足を払拭できる。 秋夕に故郷で感じた共同体精神も回復できる。 痛みと疾病は社会が分け合おうというその精神ゆえだ。

キム・ヤンジョン医療専門記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-29 18:34
http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/710656.html 訳A.K(1894字)

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