登録 : 2016.04.12 23:57 修正 : 2016.04.13 07:06

北朝鮮従業員による集団脱北のミステリー

中国浙江省寧波の北朝鮮レストラン「柳京」の関係者が12日昼、レストラン内施設を見回っている。この日、柳京は営業しなかったが一部の従業員が中にいる姿が目撃された=寧波/キム・ウェヒョン特派員//ハンギョレ新聞社
脱出主導した支配人「新婚1年6カ月」 
同じレストランに働く妻同伴せず 

「支配人、2500万円盗んで逃げた」 
消息筋 「中国人の共同経営者、警察に通報」 
「対北朝鮮制裁が原因で脱北」当局の説明と相反する 

異例の「1日で入国」 
3国経由するには書類の準備だけで数カ月 
脱北者 「国家情報院があらかじめ用意しただろう」

 総選挙を控えて電撃的に公開された「北朝鮮の海外レストラン従業員による集団脱北」を主導した人物として知られているレストランの支配人H氏(36)が、レストランで一緒に働いていた妻を中国に残し、韓国に入国したことが分かった。H氏とレストランを共同運営していた中国人社長から150万元(2億6500万ウォン=約2500万円)を盗んで逃げたという証言も相次いでいる。支配人と従業員13人が長い時間緻密に計画したというよりも、何かの理由で急に脱出せざるを得なかった情況が次々と明らかになっており、国家情報院が介入した「企画脱北」という疑惑もさらに高まっている。

 12日、ハンギョレが取材した結果、中国浙江省寧波にある北朝鮮レストラン「柳京」には、北朝鮮の対外文化連絡委員会所属の20人の支配人と従業員がいたことが分かった。これらのうち、13人が今回脱北し、残りの7人は中国現地に残っているが、この中には今回の入国を主導したH氏の妻が含まれていることが分かった。彼女らは現在、中国に滞在しているという。関連事情に詳しい現地消息筋は「支配人H氏の妻を含む従業員など7人が、生活必需品などを買いに外出した間に、H氏など13人が脱出した」と話した。H氏は1年6カ月前に結婚したことが分かった。H氏は一緒に出国した女性従業員のパスポートを管理してきたが、妻が外出した間に集団脱出したことから、自分たちだけの計画というよりも、何か緊迫した状況があったと推定される。中国のレストランで働いた経験がある脱北者は「パスポートを管理するほどの力を持った支配人が、妻を置き去りにして計画脱北を実行するのは常識的ではない」と指摘した。

 H氏が中国人共同経営者である社長の現金150万元を持ち出したという主張も提起されている。この消息筋は「支配人が中国人共同経営者の150万元を持って姿を消したため、中国人共同経営者が警察に届け出たと聞いている」と述べた。そのレストランの近くの店のオーナーも「レストランが一晩で営業を停止したが、中国人社長が巨額の金を盗まれたという噂がある。社長が非常に困っているという話を聞いた」と伝えた。H氏が脱北を主導したのも、このような事情と関連しているのではないかという指摘もある。脱北関連業務に詳しい南北関係の専門家は、「北朝鮮海外事業や貿易に従事していた人たちの中では、金の問題で北朝鮮を脱出することが多い」と話した。

 H氏のこのような状況が脱北の背景であれば、「北朝鮮レストランの利用を控えるように指導するなど、北朝鮮に対する韓国の独自制裁が集団脱北につながった」という政府当局の説明は当てはまらないことになる。統一・外交・安保分野の元高官は「通常、脱北過程で政府が協力するが、このようにはしない。無理に『集団脱北』を作り出そうとしたのではないかという疑念を抱かざるを得ない」と話した。

 H氏など北朝鮮食堂の労働者13人は今月5日、レストランがある寧波から上海へ陸路を利用して移動した後、6日の朝、マレーシアを経て、7日、仁川空港に入国したことが分かった。マレーシアは北朝鮮国籍者がビザなしで入国できる。マレーシアで韓国入国関連の書類は、異例にも極めて迅速に行われたものと見られる。中国派遣中に脱北した40代の男性は、「第3国から韓国に入るまで、書類の準備などに長くて数カ月のかなり長い時間がかかるが、今回のようにマレーシアを経てすぐに入国したのは、情報機関があらかじめすべて用意していたと見ていい」と話した。

 脱北関連の国内外の民間団体も、今回の集団脱北の事実については、政府の公開以降になって初めて知ったと伝えられている。脱北過程を国家情報院など政府機関が支援する場合にも、通常は、民間団体が脱北経路を確保して脱北者を助け、当局は協力する役割に務めてきた。今度は関連事案を把握している民間団体が存在しないことが分かった。ある対北朝鮮消息筋は「北朝鮮人権団体が全く知らないうちに、集団脱北が公開された。国家情報院が今回の脱北を企画し主導しなかったら、そういう風には行かない」と指摘した。

 北朝鮮当局は、彼らの中国出国直後の6日昼、中国の警察に彼らの行方不明届を出しており、中国の警察は7日から中国人社長の被害状況などを調査していると、現地消息筋が伝えた。このような状況からして、中国政府が北朝鮮レストランの従業員などの出国事実を事前に知らなかった可能性も高い。

キム・ジンチョル記者、寧波/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-04-12 19:22

http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/739368.html訳H.J

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