総選挙前に与野党の必要で関心が高まる中
政労使協議が第一歩…8月5日が告示の期限
最低賃金連帯「キャンペーンと署名運動を展開」
今年も業界の反対で大幅な引き上げは遙遠
就活中のキム・ウンソ氏(24)は、大学に通う間、ずっとアルバイト続けてきた。授業料と生活費を稼ぐためだった。コンビニ、ネットカフェ、大型スーパー、カフェなど、業種は様々だったが、「時給」の基準はいつも最低賃金だった。「新しいバイト先に行くと、社長が『今年の最低賃金はいくらだ』と言います。基準がはっきり決まっているから、それより少なければ私たちにも言い分ができますし」。キム氏のようなアルバイト労働者をはじめ、多くの低賃金労働者に最低賃金は生活に大きな影響を与える重要な要因だ。
野党が先を争って「最低賃金1万ウォン(約950円)」を公約に掲げており、セヌリ党も遅れて引き上げに同調する立場を示したことで、最低賃金引き上げへの関心が高まっている中、最低賃金委員会が7日に初めて会議を開き、来年度の最低賃金決定のための手続きを始める。労働界は「最低賃金1万ウォン」のために署名運動を展開するなど、足早に動いているが、経営界と自営業者たちの強い反発など、交渉過程には解決すべき課題が多い。
労働界、経営界、政府が推薦した公益の代表者で構成された最低賃金委員会は、雇用労働部長官の審議要請を受け、90日以内(6月28日)に、来年の最低賃金案を議決するようになっている。雇用労働部長官は、労使の異議申請と再審の過程などを経て、8月5日には、最低賃金を告示する。このため、7日から始めて約4カ月間、政労使が最低賃金引き上げ幅をめぐり綱引きを行う。今年の最低賃金は、時間当たり6030ウォン(約574円)で、前年に比べて8.1%上昇した。
最低賃金連帯は6日午前10時、ソウル光化門(クァンファムン)で記者会見を開き、「最低賃金が『死なない程度』の貧困賃金ではなく、実際に人間らしい生活を保障する賃金として機能する日まで、最低賃金引き上げ闘争を繰り広げていく」ことを明らかにした。最低賃金連帯には民主労総、韓国労総、アルバイト労組、女性労組、韓国労総、韓国進歩連帯などが参加した。民主労総、大学労組、全国学生行進などは「最低賃金1万ウォン」キャンペーンと署名運動を繰り広げる。今月5日の延世大を皮切りに、6〜7日には慶煕大に続き、高麗大、淑明女子大、ソウル大、海洋大、清州大など、全国16大学でキャンペーンを展開した。今月に街頭署名運動を行った後、5月からはオンライン署名運動も開始する予定だ。
しかし、最低賃金委員会で、実際どの程度の引き上げ率が合意されるかは未知数だ。昨年もチェ・ギョンファン経済副首相が「家計所得の増大のために最低賃金を急速に上げなければならない」と述べたことで、二桁引き上げへの期待感が高まったが、結果は例年と大きく変わらなかった。労働界は時給1万ウォンを要求したが、経営界は時給5580ウォン(凍結=約531円)で対抗し、最終的には公益委員が5940ウォン(6.5%=約565円)〜6120ウォン(9.7%=約582円)の妥協案として提示したことで、結局6030ウォンに決まった。
昨年に続き今年も最低賃金委員会の労働者委員として参加している韓国非正規労働センターのイ・ナムシン所長は「政界に本当に意志があるなら、最低賃金を毎年二桁の引き上げをすると約束すべきだった」とした上で、「具体的な後続対策を伴わない公約は選挙用のポピュリズム(にすぎない)」と批判した。一方、忠清南道天安(チョンアン)で27年間文具店を運営しているパン・ギホン氏(53)も、「何の対策もなく、最低賃金だけを急激に引き上げたら、すでに追い込まれている自営業者の多くは、廃業せざるを得ない」とし、「最低賃金を1万ウォンに引き上げた後、零細自営業者を支援する対策を講じなければならない」と指摘した。
韓国語原文入力:2016-04-06 20:05