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韓国憲法裁、大統領誹謗した軍人の上官侮辱罪は合憲

登録:2016-03-02 08:03 修正:2016-03-02 08:36
MBC「本当の男」の一場面=MBCからキャプチャー//ハンギョレ新聞社

軍刑法条項を合憲と判断
裁判官2人は反対意見
「政策批判まで処罰は行き過ぎ」

 大統領を誹謗した軍人に上官侮辱罪を適用して処罰する軍刑法を合憲とする決定が下された。

 憲法裁判所は1日、軍刑法第64条2項(上官侮辱罪)に対して提起された憲法訴願事件で、裁判官7対2の意見で合憲の決定を下したと明らかにした。同条項は、文書、写真、演説などの方法で上官を侮辱した人に3年以下の懲役や禁固に処すよう規定している。

 特殊戦司令部のイ中士(軍曹)は、2011年12月26日から2012年4月12日まで計8回に渡りツイッターで4大河川事業とKTX民営化を批判し、李明博(イミョンバク)前大統領を誹謗する表現を使い、大法院(最高裁)で懲役6カ月、執行猶予1年が確定した。イ中士は控訴審の裁判中、同条項が表現の自由を侵害し、上官の概念が抽象的で様々な解釈が可能な上、懲役・禁固刑を課すようなっており、実際の行為に比べ過度に処罰が厳しすぎるという理由などで、憲法裁に憲法訴願審判を請求した。

 憲法裁は「憲法で『大統領は憲法と法律が定めるところにより国軍を統帥する』と規定されており、大統領は国軍の最高司令官であり、最高の指揮・命令権者であることが明らかにされている」とし、大統領が軍刑法に規定された上官に該当すると判断した。また憲法裁は「軍組織の特性上、上官を侮辱する行為は軍規を乱す行為」として上官侮辱罪の必要性を認めた。

 しかしキム・イス裁判官とカン・イルウォン裁判官の2人は反対意見を示し、「(侮辱罪は)軽い侮辱行為や単なる軽蔑的な感情表現、または否定的な批判や風刺行為まで処罰でき、表現の自由を極度に制限」し、「侮辱行為を一般的に処罰するのは国際人権基準にも反し、大多数の国で表現の自由を保護するため、侮辱や名誉毀損を犯罪から除外している立法の流れにも逆行する」と明らかにした。また「軍人の身分では私的領域で軍事と関係のない大統領の政策を非難しても上官侮辱罪として処罰されるが、これは行き過ぎた制裁」とし「侮辱の程度を問わず、罰金刑なしに懲役か禁固刑でだけ処罰する法律条項は、刑罰と責任の比例の原則にも反する」と判断した。

チョン・ファンボン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-03-01 22:25

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/732774.html 訳Y.B

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